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「マストドンはパソコン通信の再来」--さくらインターネット田中社長 - (page 2)

山川晶之 (編集部)2017年04月21日 18時07分
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「ムーブメントにきちんと乗れる会社」であることが大事

――mstdn.jpのインフラがさくらインターネットに移行したあたりから、サーバの話が活発化してきました。今回の流れは、クラウドやVPSなどサーバビジネスの一つの新風になるのでしょうか。

 今までもマインクラフトなど、サーバを使うアプリがたくさん出てきており、そのたびにVPSやサーバも売れています。私としては、マストドンというインターネットのムーブメントが面白いとする立場と、純粋なサーバ会社として新しいアプリが出てきたという立場の2つがあります。後者では、一つのアプリが出てきたとしか捉えておりませんし、弊社の売上の屋台骨を支えるわけでもありません。マストドンが加熱して、弊社のサーバの売れ行きが良いと思われがちですが、そこまで影響はありません。

――20日にはVPSの在庫が減少しているという発表もありましたが、大きく関係はしていないと。

 実は、マストドンの話がある前から売れ行きは好調なんです。在庫数もサーバだと数千台単位になってきますし、マストドンが一つのきっかけにはなったと思いますが、それが主要因だとは考えにくいです。

 どちらかというと、マストドンうんぬんよりも、そうした「新しいムーブメントにきちんと乗れる会社」であることが重要です。nullkal氏への支援も、スタートアップスクリプトの提供も私は全く関与していません。私は完全に蚊帳の外で、ユーザーの一人でしかないのです。

――新しいムーブメントを積極的に取り込もうとする社内のカルチャーがマストドン関連でも作用したということでしょうか。

 そうですね。こうした取り組みを続けている方が成長性も高まります。成長するものに寄り添うことで我々も成長できるのです。今回は一種の祭りのようなもので、社員も面白そうに取り組んでいました。新しく出てきたものを“怪しい”と取るか、“面白そう”と判断するかによって会社の成長性も変わると思いますし、当然、社内でも「なぜここまで支援しているのか」とシニカルに考えている人もたくさんいると思います。そうした考えの人の居場所もあり、新しいことをやりたい人もチャレンジできる、多様性のある社風の方が継続して成長できると思うのです。

 会社というのは、長年続けていくとどうしても保守的になりますし、最近は私もあまり細かいことは言わなくなりました。また、社員の数も急激に増えており、社員の半分以上がここ4年で入社してきた人です。長年勤めていてノウハウがある人も、新しい人に触発されることで、ノウハウを生かした新しいことを始めるようになります。社員数が増えるという成長、個人が何かやりたいという成長、マストドンのように凄く伸びている成長と、すべての成長がつながることで今回のような面白いムーブメントが起きたというのが率直な感想です。

IoTとマストドンは融合していくのか

――さくらインターネットでは、IoTプラットフォーム「sakura.io」を発表されていますが、今後マストドンとIoTを絡めた取り組みなど構想はお持ちでしょうか。

 私自身、まったくのノーアイデアですし、今のところマストドンとIoTがつながるかというのはまだ考えにくいです。とはいえ、クラウドが手軽に利用できたり、GitHubなどでオープンソースソフトを使用するハードルが低くなった時代です。sakura.ioで、IoTデバイスとネットワークの通信コストがゼロに近づいていく世界になりますので、新しいものは出てくるのかなと思っています。それこそ、IoTのデバイスがマストドンのインスタンスになる世界もあるかもしれません。

――デバイス単位でインスタンスを持ち、それがゆるくつながっていくというのは面白そうです。

 IoTのプラットフォームも一つだけではダメだと思っています。データが集中しすぎるというのは、効率は良くなりますが多様性が低くなります。コントロールされはじめると成長が鈍化していくのです。sakura.ioも、もともとは「モノがツイートしたらいいのに」がコンセプトになっています。人間よりも、モノがつぶやいた方が面白いのではないか、物事の相関関係を見直すのが最初のテーマでした。

 こうした発想がベースになっていますので、ビジョンとしてはマストドンと相性が良いかもしれませんね。

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