もちろん、筆者が同世代の人々を代表して意見を述べることはできない。今でも、1980年代のときと変わらぬ速さで電話番号をダイヤルしたり、実際に電話に出たりする人もいる。彼らが、このかつては普通だったスキルを、昔流行ったローラースケートのようにさび付かせていないことに筆者は感心している。
ニューヨークに住む38歳のテレビプロデューサーのLesley Grossmanさんは、次のように語っている。「若い同僚の中には、自分の送信した電子メールに何日も返事がないと驚く人がいる。私は、実際に音声でコミュニケーションをとるために電話が存在することを、彼らにいつも思い出させているような気がする。十中八九、電子メールへの返信を待つのではなく電話をかけるだけで、はるかに早く返事をもらえる」
電話をかけることをためらうのは、必ずしも若い従業員だけではない。
西海岸の大規模な大学に勤務するKristin Burnsさん(53歳なので、電話が不可欠だった時代のことも覚えている)は、「ビジネスに関しては、電話で会話するよりも、電子メールの方が価値が高いことを私はずっと前に確信した。管理者、そして、30人を超える教職員の問題を解決する管理部門のトップとして、私はほかのスタッフにもそれを納得させることができた。ここでは、メールを送ることが実に文化になっている」と話す。
生物学を専攻しており、医科大学への進学を予定しているPammerさんは、テキストメッセージの手軽さとスピードによって、企業の世界でも電話離れが進むと考えている。
「ティーンエージャーや若者と連絡を取りたければ、彼らと同じプラットフォームやコミュニケーションスタイルを利用した方が簡単なのは明らかなこと。結局のところ、簡単で素早く済むことの方が、実際に遂行される可能性が高い」(Pammerさん)
もちろん、医療分野でのキャリアを選択したことは、彼女が電話をかけなければならない頻度に影響を及ぼすかもしれない。深刻な診断結果を患者にテキストメッセージで伝えることは考えにくいが、患者との対話がそれほどない医療職もたくさんある。
Stephens氏はPammerさんのように電話が嫌いな人に対して、職業を慎重に選択するよう忠告している。
「テキストメッセージで全てを成し遂げられる職業もおそらく存在するはずだ。だが、少なくとも時々はリアルタイムで会話しないと、一緒に働く人々と親しい関係を築くのは難しいと思う」(Stephens氏)
筆者はどうかと言えば、「うまくいくまで、ごまかす」という心構えが効果的であることに気づいた。筆者は、職業人生を通して電話をかけてきたじゃないかと自分に言い聞かせる。そして、電話の相手は、筆者が緊張していることなど知りもしないのだ。
とはいえ、この記事を読まれたら、緊張していることがばれてしまうが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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