ドコモ・ヘルスケアは4月11日、法人向けに3つの新サービスを発表した。従業員を対象に日々の歩数など健康データを可視化する「健康サポートLink」を4月18日から、生活リズムと体調を記録して従業員の生活習慣改善をサポートする「Reborn MAGIC(リーボンマジック)」を4月12日から、食事写真と専門家によるソーシャルダイエットサービス「フォトエット」を6月から提供する。これまで個人消費者向けサービスを中心に展開してきた同社だが、自社の"健康経営"に取り組む企業を対象に、従業員向け健康促進施策を支援する。
以前からドコモ・ヘルスケアは、自社サービスを活用した産業医面談の実施や、上下昇降デスクやバランスボールを導入することによる疲労軽減や腰痛・肩こりの予防、ワークライスバランスを推進するための勤務態勢などの多角的な取り組みを実施。企業が従業員の健康に配慮することで、経営面においても大きな成果が期待できる健康経営を実現してきた。
Reborn MAGICの監修にも携わるクオリティライフサービス代表取締役 管理栄養士の小島美和子氏は、「プレゼンティーイズム(疾病就業: 従業員が出社しても何らかの不調が原因で職務遂行能力が低下した状態)の解消が大事」と語る。
小島氏によれば、多くの企業は従業員の健康維持を重要視し、産業医や健康診断などの施策を講じているが、従業員側から見ればプログラムの実施期間が長期にわたり、内容も楽しめず、効果を実感できないケースが多いそうだ。そのため、利用者が楽しみつつ「いつの間にか調子が良くなる」(小島氏)ようなプログラムや、健康に対する意識を企業全体の文化として持たなければならないと語る。これらの問題解決につながるのが、ドコモ・ヘルスケアが今回発表したサービス群だという。
健康サポートLinkは、個人向けヘルスケアサービス「WM(わたしムーヴ)」と連携するムーヴバンドやスマートフォン、血圧計などのデバイスを用いて、歩数や血圧など従業員の計測したデータをクラウドで一元管理するサービス。データはグラフ表示やランキング、組織単位の平均値確認などの集計情報を可視化し、データのCSV出力にも対応。集計データに基づいて産業医による面談や、健康促進が必要な部署の把握などにも活用できる。価格は約21万円(1ユーザーあたり350円/月を50人以上・年間契約)。
同社の担当者によればすでに先行採用事例があるという。たとえば、日清食品ホールディングスでは、従業員のウォーキングイベントを実施する際に、数百人のデータを一括管理して、データ収集の煩わしさを解消した。
Reborn MAGICは、起床時間や食事時間などの生活リズムと、空腹度や排便などの体調を記録。食事時間のズレや睡眠不足など改善すべき課題を数値で可視化し、課題となる項目に対しては、改善するためのメニューを利用者に提示して、記録と改善という2要素をらせん状に組み合わせることで、健康的な生活習慣作りを支援するサービスだ。スマートフォンアプリに限らず、ウェブブラウザからのアクセスにも対応し、一般的な労働時間に縛られず、シフトワークや不規則勤務、夜勤などにも対応するため全社的導入も可能。価格は、初期設定費や講演費などセットにして約100万円。
ある企業の229名の従業員を対象に約1カ月間の試験を行ったところ、BMI(ボディマス指数)25以上の従業員の6割超が体重減少を実現し、BMI 21以下の人も8割以上が適正体重に近づいたという。また、測定者117名中76名と約7割は内臓脂肪が減少し、体調が良いと回答した測定者はサービス利用前の20.8%から45.4%へ増加した。担当者はサービス名について、「あたかも生まれ変わった・魔法にかかったほど健康的になるという思いを込めた」と語っていたが、状態の可視化が意識を変える好例といえるだろう。
フォトエットは、日々の食事を写真として投稿して専門家によるアドバイスを受けつつ、他の参加者による投稿などから食事内容や行動目標を見直せるサービス。価格は未定だが、「専門家のアドバイスが介在するため、Reborn MAGICより高めの価格設定になる」(ドコモ・ヘルスケア代表取締役社長の和泉正幸氏)という。
担当者によれば、「生活習慣病予備軍の数を減らしたいが、実際に従業員は取り組んでくれない」という声が多いという。そこでドコモ・ヘルスケアは、専門家のコーチングや同じ目標を持つ仲間同士での継続支援、独自開発した減量メソッドと生活リズムを整える行動目標によって減量を支援。この考え方からフォトエットを開発したという。同社は事前に119名のモニターによる1カ月間の試用を行ったところ、目標体重2%減に設定した目標達成率は82%。平均減量率はマイナス3%、実際に1カ月続けられた継続率は95%に達したという。
これらの法人向けサービスの取り組みについて、和泉氏は「(市場性についても)手探りの状態。勝算があるのではなく、社会的意義があるからチャレンジしようという気持ちが先行している」と語る。初年度目標については「2020年までに個人・法人(向けビジネス)が社の軸足なるように育てていきたい」と述べた。
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