物流業者の早晨快信(モーニング・エクスプレス)は、有人の商品受け取りスポット「eリンクステーション」と香港初のスマートロッカーとなった「eリンクボックス」を商業施設内に設けている。ヤフーのほか、淘宝網(タオバオ)などの主要インターネット通販7サイトと提携している。
配送員がロッカーに荷物を入れると、ユーザーの携帯電話にショート・メッセージ・サービス(SMS)で6桁のパスワードが届く。それを打ち込めば荷物の入ったロッカーの扉が開くという流れだ。午後6時以降の帰宅時間帯に利用する市民が多いという。
中国本土の宅配大手である順豊速運(SFエクスプレス)は、「EFロッカー」という宅配ボックスを設置。アプリ内のQRコードをスキャンすれば商品を受け取れる仕組みを整えた。また八達通(オクトパスカード)と呼ばれる、SuicaのようなICカードを使用して、電子マネーで決済できる点も強みだ。
DHLエクスプレスは3月から、海外から届く荷物の受取日時や配達先を自由に選べる新サービス「オン・デマンド・デリバリー」を香港で導入した。スマートロッカー、「セブンイレブン」対応店舗、自宅物件の管理業者などから配達先を選べる。ロッカーやセブンイレブンでの受け取りは、荷物の配達が完了してから7日以内だと無料となる。
ロッカーの側面を、広告媒体として模索する動きもある。日本では 「一戸建てにもロッカー設置を」という流れがあるが、土地の狭い香港では高層マンションがほとんど。現時点では、各マンション内への設置ではなく、人が多く集まるエリアに広告媒体も兼ねたロッカーを設けるという流れのようだ。宅配ボックスの表面に広告ラッピングを施し、発光ダイオード(LED)スクリーンを備えることで、ただの“箱”ではなく、広告収入源となる。
高度に発達した実店舗に阻まれてきた香港EC市場だが、利用者が増加を続けている今、自宅以外での受け取り方法を充実させることは急務といえる。人手不足によりモノが運べなくなる日が迫るなか、悲鳴を上げる物流現場の救世主となりえるか。デジタルテクノロジを用いた新たな取り組みやサービスの創出が始まっている。
(執筆:間野優子、編集:岡徳之)
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