慶應義塾大学SFC研究所のアグリプラットフォームコンソーシアムは3月28日、全国の農業高校、農業大学校を対象としたウェブサイトコンテストの結果を発表。大賞には、県立佐賀農業高校が選ばれた。
このコンテストは、就農への関心喚起や農業教育機関に対する注目度の向上、農業分野全体の活性化を促すことを目的として開催。公募制ではなく、全国に384校ある農業高校と農業系学科を設置している高校、47校ある農業大学校すべてのウェブサイトについて、生徒募集の工夫や自発的な取り組み、農業関連情報の発信などを独自に審査し、優秀校を選定したという。
審査には、アグリプラットフォームコンソーシアムを主宰する慶應義塾大学 環境情報学部長の村井純教授と同学部の神成淳司准教授をはじめ、農林水産省、理化学研究所、全国農業協同組合中央会(JA全中)、民間企業などが参加。新しい農業への夢や希望が表現されているか、学校の特徴や独自性が表現されているか、地元農業や農業以外の産業との連携に貢献しているか、農業の国際連携に貢献しているかなどの基準で審査された。
審査員企業として、日本マイクロソフト、富士通、NECといったIT企業とヤンマー、クボタ、井関農機などの農機メーカーが選定した企業賞は、とわの森三愛高校(北海道)、県立水戸農業高校(茨城)、府立能勢高校(大阪)、なら食と農の魅力創造国際大学校(奈良)、鯉淵学園農業栄養専門学校(茨城)、県立播磨農業高校(兵庫)が受賞。また、審査員特別賞は県立相馬農業高校(福島)、高校部門の最優秀賞は県立五所川原農林高校(青森県)、大学校部門の最優秀賞は宮崎県立農業大学校がそれぞれ受賞した。
そして大賞は、佐賀県立佐賀農業高校が受賞。同校の教諭でウェブサイトの運営を担当する西村学氏は受賞を受けて、「佐賀県はICTの利活用に3年前から積極的に取り組んでおり、授業ではタブレットや電子黒板を活用している。今年度は農業高校としては初となるスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受けて、SGHとしてのさまざまな取り組み(研究発表やワークショップ、国際交流などの模様)を余すことなく情報発信していこうとウェブサイトの運営をしてきた」とコメント。
受賞理由について村井教授は、「同校は、SGHとして“佐農ブランド”と呼ばれるブランド農作物の創出や高校生自身によるショップ経営などを行っており、生産・開発・販売・経営に至るすべての取り組みを網羅している。こうした学校の特徴や農業の楽しさを魅力的に発信している」と講評した。なお、副賞として審査員企業である電通のクリエイティブセンターが同校に出向き、セミナーやコンサルティングを行いながらウェブサイト運営に協力していくとしている。
今回のコンテストについて、村井教授は「日ごろからICTの活用や新しい試みに取り組んでいる学校を全国から探して応援しようという趣旨で行った。これからの農業は、世界との関わり、世界への貢献が大きなテーマであり、農業や食におけるICTの活用に関する議論も増えている。今回のコンテストは、次の世代を担う若い学生たちが農業の課題にどのように取り組んでいるかを世界へ向けて発信して行く手段として、ウェブサイトの活用状況を評価しようと考えた」とコンテストの趣旨を説明。
審査した全国の農業学校について「どの学校からも、農業を担う学生や職員が未来を見据えてウェブサイトの活用に積極的に取り組んでいる姿勢がよくわかった」と評価した。
また、来賓として出席した農林水産省 大臣官房 技術統括審議官の西郷正道氏は、「若い農業人材を育成する農業学校からの情報発信は、若い世代の農業への関心喚起になる。各校のウェブサイトでは、生産・加工だけでなく他業種との連携や地域密着の取り組みや農業の国際交流などの活動を幅広く情報発信している。我々もこのような各校の取り組みから学んでいきたい」と挨拶。
自民党の農林部会長で衆議院議員の小泉進次郎氏も、「これからも、将来の食と農業を担う若い人たちを応援していきたい」とメッセージを寄せた。
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