共和党が多数派を占める米議会上院は、わずか数カ月前にBarack Obama前政権の下で成立したブロードバンドのプライバシー保護規則を撤回する決議について、所属する党の方針に従って投票し、50対48で可決した。
この決議によって、米連邦通信委員会(FCC)が2016年10月に承認した規制は無効となる。同規制は、Comcastなどのインターネットサービスプロバイダー(ISP)やVerizon Wirelessなどのモバイルデータ通信事業者に対し、機密情報を利用したり共有したりする前に顧客の許可を得ることを義務づけたものだ。
このプライバシー保護規則はまだ発効しておらず、それどころか、新たにFCCの委員長に就任したAjit Pai氏はすでに施行を阻止していた。同氏は共和党議員で、Verizonの弁護士を務めたことのある人物だ。Pai氏は同規則が米連邦取引委員会(FTC)のプライバシー基準に「沿っていない」と主張した。同氏はこの規則について、ブロードバンドサービスプロバイダーや他の通信事業者を統制するものでしかなく、そのため広告に関してGoogleやFacebookなどのウェブサイトに不当な優位性を与えると主張している。
上院では米国時間3月22日、決議の発起人であるJeff Flake上院議員も、「インターネットのエコシステムのバランスを取り戻し、消費者の疑念を払拭するために」、同規則を破棄するべきだと主張した。Flake議員は「一貫性のないデータの取り扱い」を批判するとともに、この規則は「消費者がブロードバンドプロバイダーによる最新の製品サービスについて知ることをますます難しくする」と述べた。
複数の民主党議員が投票結果を批判している。
Ed Markey上院議員は声明で次のように述べている。「本日の投票において、共和党上院議員らは、米国民の健康、家計、家族に関する機密情報が、より簡単に本人の許可なく使用、共有され、最も高い価格を提示した買い手に販売されるようにした。米国民はわれわれにプライバシー保護を強化するよう求めているのであって、これを弱めるよう求めているのではない。われわれは、自宅や電話がインターネットに接続されているというだけで、プライバシーに対する基本的な権利を諦めるべきではないはずだ」
今回の決議が法律になるまでには、同様に共和党が過半数を占める下院を通過し、ホワイトハウスで大統領による署名を得る必要がある。決議が乗り越えるべきハードルは低いだろう。
上院はFCCの規則を破棄するために、議会審査法(CRA)という曖昧な法律を利用した。Washington Postが説明しているように、議会はCRAに基いて、行政機関の規制を無効にできる。上院においては、単純過半数の票だけで無効にできる権限を与えている。つまり、民主党はCRA法案の通過を阻止できないということだ。CRAはまた、問題となっている連邦機関(この場合はFCC)が今後、「実質的に同じ内容」の規則を可決できないことも定めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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