リコーは3月21日、画像をキーにしてコンテンツを登録・検索可能なウェブアプリケーションを簡単に開発できるソフトウェア開発キット「RICOH TAMAGO Snapi(リコー タマゴ スナピ)」の無償提供を開始した。
RICOH TAMAGO Snapiは、文章やタグなどのキーワードはなく、画像(イメージ)をキーに任意の形式のデジタルデータ(コンテンツ)を登録・検索できるクラウドサービスだ。個人・法人ともに、ウェブサイトからTAMAGO Snapi SDKのユーザー登録をすると利用できる。
独自の画像認識技術により、関連するデジタルコンテンツへのURLリンクや1データあたり1Mバイトまでのデジタルデータ(画像ファイル、PDFファイル、Wordファイルなど)をリコーが提供するクラウド上に登録可能だ。
さらに、TAMAGO Snapi SDK(Software Development Kit)というJavaScriptライブラリを用いることで、画像をキーとするウェブアプリケーションが作成できる。
特別な開発環境は必要なく、「使い方のマニュアルもわかりやすく書いた。ウェブアプリを作ったことがある人ならだいたい使えるのではないか。 今後はGitHubにサンプルコードを提供することも考えている」(IW開発本部 IT開発センター TAMAGO.TF シニアスペシャリストの池田哲也氏)と話す。
なお、キーとなる画像には、二次元バーコードなどの埋め込みは不要で、既存の画像データをそのまま活用できる。
また、登録時の画像そのものでなくとも、カメラなどで再度撮り直した、構図や大きさなどが登録時とは異なる画像や画像の一部分を撮影したものでの検索(あいまい画像検索機能)に対応する。1つのキーとなる画像に対して、最大10個のコンテンツを登録することが可能で、登録するコンテンツの追加や変更は任意に行える。
活用例として、仲間内でのコンテンツ・情報共有が挙げられる。たとえば、修学旅行のガイドブックの任意のページに、観光地や店舗のホームページやバスの時刻表などのPDFファイルなど、関連するデジタルコンテンツを紐づけられる。その修学旅行に行く生徒や保護者間で専用ウェブアプリケーションを共有すれば、ガイドブックの該当ページをスマートフォンのカメラ機能で撮影した画像をキーとして、関連するデジタルコンテンツを検索できるようになる。
同社では、従来の文字情報を元に検索する「キーワード検索」から、「キー画像検索」が可能になることによって、画像とクラウド上のデジタルコンテンツとが直接紐づくようになるとしている。
インテリジェント ワークスタイル開発本部 イノベーティブ・テクノロジー開発センター TAMAGO・TF リーダー シニアスペシャリストの國枝孝之氏は、「リコーがアプリとしてつくると、できる範囲が狭くなりがち。SDKとして機能を提供するので、アプリの中に組み込んでもらい、さまざまな形で使ってもらえるとおもしろいのではないか。オフィスの枠を取っ払い、大学とのアイデアソンやハッカソンも企画してみたい」と意欲的だ。
「RECOH TAMAGO」シリーズは、“ビジネスのたまご”として形をつくり、商品化への道を探るテストマーケティングの一環として無償提供するもの。2011年からスタートし、これまでに“TAMAGO”を卒業して、事業化したものやリコーのハードウェアと組み合わせてサービスに組み込んだりしてさまざまな展開を広げているものも約半数あるという。アプリを中心に手がけてきたが、今回はTAMAGOシリーズ初のSDKのリリースだ。
RICOH TAMAGO Snapiを開発するきっかけとなったのは、2012年にリリースした「RICOH TAMAGO Clicker」の経験があったからという。雑誌などの紙媒体をiPhoneやiPadで撮影するだけでリンク先情報などを読み取れるアプリだ。
「RICOH TAMAGO Clickerを出したときにいろいろなアイデアをいただいた。しかし、その仕組みだと“1対多”というスキームがあったため、仲間内でマンガのコマに対してコメントをつけ合うアプリをつくりたい、オリエンテーリングの宝探しに使いたい、といったときに実現できなかった。TAMAGO Snapi SDKを使えば、パブリックではなくグループでシェアできる。リコーが用途を決めるのではなく、好きなアプリを自由な発想でつくってもらいたい。使ってもらい、要望があれば改良したい」(池田氏)と語った。
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