フォード、巨大な新方式3Dプリンタをテスト--横向き出力で大型パーツ製造に期待

Chris Paukert (CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 吉武稔夫 (ガリレオ)2017年03月07日 12時20分
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提供: Nick Miotke/Roadshow

 Ford Motorをはじめ、ほぼすべての自動車メーカーが、3Dプリンタを使って新車の開発および製造能力を高める方法を見つけ出す取り組みを続けている。3Dプリンタのような付加製造技術を利用すれば、製造期間の短縮、カスタマイズ性の向上、部品の軽量化など、さまざまな効果が期待できる。そのため、非現実的とも思えるアイデアが数多く存在するのもうなずけるが、その実現可能性を示すデータはまだそれほど多くない。しかし、その状況が今変わりつつある。Fordが、素晴らしい機能を備えた新しいプリンタ「Stratasys Infinite Build 3D Printer」を自社の施設に導入したからだ。

 この3Dプリンタはベータ版の段階で(あるいは、アルファ版と言ってもいいくらいだ)、その大きさは部屋1つ分ほどにもなる。ミシガン州ディアボーンにあるFordの研究開発センターに設置されたこのプリンタは、水平思考の産物だ。従来の3Dプリンタは、層を1つずつ上に重ねていくことで立体物を出力するが、Infinite Build 3Dは横方向に出力する。そのため、はるかに大きな立体物の出力が可能で、理論上は、出力できる物体の大きさに限界がない。このような方式のため、出力プロセスは従来とまったく異なる。1つには、出力する立体物を支える構造を最初に制作しなければならないからだ。

Stratasys Infinite Build 3D Printerによる生成物
理論上は、出力できる物体の大きさに限界がない
提供:Nick Miotke/Roadshow

 Infinite Build 3Dは、多くの商用プリンタと異なり、一般に思い浮かべるようなフィラメント状の素材を使用しない。その代わりに、独自開発された砂のような粉(マイクロペレット)を使用する。熱可塑性のあるマイクロペレットを、ネジ状の送り出し装置を使って供給し、液状化するまで加熱してからプリントヘッドに送り出すのだ(射出成形装置とよく似た仕組みだ)。また、ロボットアームが必要に応じて容器に素材を補充してくれるので、数時間から数日かけて大きな立体物を制作することもできる。

Stratasys Infinite Build 3D Printerで使用する素材
提供:Nick Miotke/Roadshow

 このプリンタは試作機のため、今はまだ、Fordのエンジニアが最良の出力結果を得るための方法を模索している段階にある。すでに判明しているのは、立体物を出力する方向が、物体の表面の品質などに大きな影響を与えることだ。また、プリンタヘッドから送り出す素材の幅、エアギャップ、出力速度を細かく調整することで、出力物の仕上がりを意図的に変えられることもわかっている。ただし、プリンタが「混乱」してしまい、動作を停止することがたまにある。その場合には、該当箇所の作業を繰り返したり最初からやり直したりすることが当然必要になる。とはいえ、試作機にとってこうしたことは予想の範囲内だ。そのうえ、Fordがこのプリンタを使い始めてからまだ数カ月しか経っていない。

 Fordは、自社で行ったテストの結果を、長年のパートナーであるStratasysと共有している。Stratasysは、航空会社のBoeingや医薬業界の企業とも提携し、このプリンタの新たな用途を探っているところだ。StratasysのInfinite Build 3Dはすでに、一晩中無人で動かせる。そこでFordは、カメラシステムを設置し、終業後もエンジニアが作業の進捗状況を離れた場所から監視できるようにする計画だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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