シャープ、戴社長が描く東証一部復帰へのシナリオ

 シャープの代表取締役社長である戴正呉氏は2月27日、「構造改革から事業拡大へ、全員の力で成長シナリオを練り上げよう」と題した社内向けメッセージを同社イントラネットに掲載。東証一部復帰の申請プロセスに入っていくこと、2017~2019年度中期経営計画を5月中旬を目途に発表する計画を明らかにした。また、「正々堂々の経営」に取り組んでいくとの姿勢を示した。


シャープの代表取締役社長である戴正呉氏

 戴社長は、2月3日に発表した決算内容について説明。「第3四半期(2016年10~12月)は、構造改革の成果により、9四半期ぶりに当期純利益の黒字化を達成し、同時に通期業績予想についても上方修正ができた。マスコミやアナリスト、機関投資家の方々からも、『シャープの経営が安定してきた』など、前向きな評価を得た。さらに2月17日には、2度目の上方修正を行い、努力が確実に業績につながっている。心から感謝する」と社員に語りかける一方で、「しかし言うまでもないが、社員の誰一人として、この結果に慢心するようなことがあってはならない。依然として、第3四半期の売上高は大幅に前年を下回っており、本格的な業績回復は、まだまだこれからだとの認識を全員が持つ必要がある」と手綱を締めた。

 また、「2016年度の業績に目途が立ったことを受け、今後、東証一部復帰の申請プロセスに入っていく。東証一部復帰は、当社復活の証となる。社会的信用力の向上、さらには、社員のモチベーションアップ、優秀人材の確保といった面でも非常に重要であり、確実に承認を得るために、納得の得られる成長シナリオを打ち出していくことが必要である。こうした狙いのもと、現在、2017~2019年度中期経営計画の策定作業を進めており、4月下旬の決算発表後、5月中旬を目途に対外公表を予定している」と述べた。

大阪府堺市のシャープ本社
大阪府堺市のシャープ本社

シャープ復活へのヒントは社員全員の業務の中にある

 中期経営計画の基本姿勢についても言及し、「中期経営計画策定におけるキーワードは、『精度』と『改善度』。従来のビジネスユニット(BU)をさらに細分化したSub-BU単位での計画策定、計画に内在するリスクとバックアップ策の明確化など、精緻な計画にまとめ上げるとともに、前年に対する業績改善施策、新規市場への展開、新ビジネスモデルの創出を織り込むことで、ステークホルダーの期待を喚起する計画へと練り上げていく」とした。

 そして、「中期経営計画策定は、一部の幹部だけの仕事ではない。社員の一人ひとりの業務の中にも、必ず、計画をまとめ上げるうえでの、アイデアやヒントがある。中期経営計画策定を他人事とせず、全員でシャープ復活のシナリオを練り上げよう」とした。

 一方で、成長に向けた具体的な打ち手も着々と進めているとし、「成長シナリオの具体化」として、2016年12月に、欧州テレビ事業への再参入に向け、スロバキアの家電メーカーUMCと業務提携契約を締結。2月22日にUMCへの出資完了により、株式56.7%を取得し連結子会社になったこと、今後は各パートナーとともに、テレビのほか、各種家電製品、新規商材の展開による事業拡大に取り組み、再び、欧州での事業基盤の確立、ブランド価値の向上を目指すとした。

 さらに、2016年10月に福山事業所で開催した「IoTコンベンション」を、3月に開催。今回は、地方自治体が参画し、求められる技術やビジネスモデルなど、さらに踏み込んだ検討を進め、「スマートホーム」「スマートシティ」を具体化したいという。ここでは、シャープ各事業部門と鴻海グループのIoT技術を結集することで「人に寄り添うIoT」を実現することを目指すとした。

 また、シャープのメンバーシップ「SHARP i CLUB」を、クラウドサービスのプラットフォームとして発展させることを目的に、サービス拡充とメンバー募集を徹底強化。会員特典として、「お客様や株主への感謝を示す施策を実施したい」としている。

 そのほか、3月1日から、日本、米国、英国において、ヘルスケアの新会社が事業を開始。3月末から、鴻海グループとの合弁事業として運営し、鴻海グループが全世界で取り組んでいる病院経営などの医療サービスのノウハウを有効活用し、革新的な製品、サービスの早期事業化を目指すという。

 また、データセンターやIT業務の事業化、8Kエコシステム構築に向けた投資推進など、成長シナリオに織り込む施策づくりを、次々と加速していくという。

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