熊本地震でも3日間電気を供給--パナソニック「創蓄連携システム」に小型新モデル

 パナソニックは2月20日、2011年3月に発生した東日本大震災をきっかけに開発を開始した創蓄連携システム「パワーステーション」の第4世代機となる「パワーステーションS LJPB21」(価格65万円)を発表した。省スペース、省施工、省設定をコンセプトに、従来モデルに比べ体積を3分の1まで小型化することを実現した。受注開始は4月5日。


「パワーステーションS LJPB21」。右は従来機

 パワーステーションSは、太陽電池パネル、リチウムイオン蓄電池ユニットと組み合わせて使用するハイブリッド型リチウムイオン蓄電システム。従来、基礎工事が必要だった屋外設置を、壁掛け設置にすることで、設置工事の期間を短縮。短期間でさまざまな場所に取り付けられる。

 サイズは高さ776mm×幅549mm×奥行き195mmで、重量約39.5kg。機能を統合することで部材点数を削減したほか、熱対策などを見直し、大幅な小型化に結び付けた。

 40分程度を要した結線作業も、工具を使わずに作業できる速結端子を採用することで、約18分にまで短縮。設置に時間がかかる、設置場所がないという問題点を解消し、あらゆる場所に設置できる、創蓄システムを目指す。


施工時間短縮のため必要配線数を約3分の2まで減らした

 発売を開始した2012年には、太陽光発電と蓄電池一体型パワーコンディショナのシステムだったが、2013年には太陽光発電、蓄電池・エネファーム連携、2015年には蓄電容量を20%アップするなど、世代を追うごとに進化。停電時の使用を主眼に据えた開発当時に比べ、普段の安心も視野に入れたほか、既築向けを想定するなど、第4世代機は、市場の変化に対応し開発したという。

 停電時に炊飯器や電気ケトルを使用できる2.0kWの高出力を実現。無線LANも標準搭載し、HEMS(AiSEG2)連携や外部システムとのネットワーク連携機能も備える。


パナソニック エコソリューションズ社エナジーシステム事業部 新事業推進センター 企画開発部部長の松本亮氏

 パナソニック エコソリューションズ社エナジーシステム事業部 新事業推進センター 企画開発部部長の松本亮氏は「開発当初は、松下電器産業の蓄電池、松下電工の配電技術、三洋電機の太陽光発電と、当時のパナソニックグループ3社の技術の強みをいかして、商品開発のプロジェクトをスタートした。東日本大震災相当でも耐える設置をコンセプトに商品づくりをしてきたが、2016年に発生した熊本地震においては、パワーステーションが1台も倒れることなく、3日3晩太陽光の電気がつかえたという評価をいただき、商品づくりは間違っていなかったと確信した。この5年間で市場環境は変化している。その変化に対応するため、省スペース、省施工、省設定の3つをコンセプトに、コンパクトでリフォーム需要に対応した商品として開発した」と、パワーステーションSの開発の背景を話した。

 あわせて5.6kWhの「リチウムイオン蓄電池ユニット LJB1156(価格:104万円)も発表しており、パナソニック製以外の太陽電池モジュールと蓄電池ユニットとの接続は不可。2017年度で5000システムの販売を目指す。

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