「自画撮り」をご存知だろうか。インターネットで知り合った相手から騙されたり脅されたりして、自分で撮影した裸の写真を送ることを求められる被害のことを指す。ネット上に流出した画像はまず回収不可能なため、不登校やいじめ、子どもの将来にまで影響する可能性が高い。
2016年11月の警察庁発表(PDF)によると、2015年における児童ポルノ事犯の被害児童のうち41.5%が自画撮りの被害児童だった。被害児童の割合は、54.5%が中学生であり、39.1%が高校生となっていた。自画撮り被害に遭う児童は毎年増加中だ。被害はSNSなどのコミュニティサイトに起因するものが8割を占めており、そのうち8割がスマートフォンを使用している。スマートフォンが普及した影響はここにも及んでいる。
これを受けて、東京都が対策を始めている。現在は、「画像を送らなければ危害を加える」などの明白な脅迫がなければ検挙ができない状態だ。そこで、脅す行為がなくても画像を複数回求めた時点で取締ができるよう、都の青少年健全育成条例の改正も視野に検討を始めているのだ。
女子中高生において「自画撮り」被害が起きる理由と対策について考えていきたい。
2017年1月、児童ポルノ禁止法違反容疑で、埼玉県の男(47)が逮捕、送検された。小4女児(10)や小6女児(11)に対して、「裸の写真を送ったらLINEの有料スタンプを10個あげる」などと持ちかけて、裸の写真を送信させていた。女児らは、「パンツの画像を送ればスタンプをくれる人がいる」と同級生に男を紹介されてLINEで連絡を取り合うようになっていた。男は「小遣いが少ない小学生を狙ってやった。高校生には通じなかった」と言っているという。
「有料スタンプじゃないと恥ずかしい」という女子小学生の話を聞いた。「無料スタンプなんて恥ずかしいもの、よく使えるね。貧乏くさい」と、無料スタンプしか持っていない子たちを馬鹿にするという。それを真に受けた子に、「有料スタンプじゃないと恥ずかしいですか?」と聞かれたのだ。小中学生などの間で「有料スタンプでなければ恥ずかしい」「無料スタンプしか持っていないと馬鹿にされる」という風潮がある話は何度も耳にしたことがある。子どもの世界はとても狭い。周囲にこのような価値観を持った子ばかりという環境だったらどうか。
執筆現在、LINEの有料スタンプは1つ240円。「有料スタンプ10個」はわずか2400円だ。たった2400円で裸の写真を送るというのは、大人にとっては信じられない話だ。しかし、知るぽるとの「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度調査(PDF)」によると、小学生のお小遣いは、高学年でも月額平均1085円。2400円というのはお小遣い2カ月半分にも当たる大金なのだ。
しかも、裸の写真を送る意味がわからない子どもたちにとって、手持ちのスマホで撮影した写真を送るだけでもらえるのは、手っ取り早くて簡単な行動なのだ。小学生や中学生くらいの年齢が低い子どもほど、このような犯罪に簡単に引っかかってしまう傾向にある。
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