「なりすまし」でTwitterを検索すると、常時数千の中高生によるツイートが見つかる。
「【定期】俺はDMは送らないので、俺からDMがきたらなりすましです」
「【勧告】フォロワーさんにも被害が拡大しているので、当アカウントのなりすまし@☓☓には応じず、ブロックまたは通報お願いします」
「△△が凍結された。なりすましは逝って当たり前」
「ゆき@□□のなりすまし発見しました。拡散お願いします(証拠画像添付)」
ツイートを見ているだけで、中高生の間でどれだけなりすましが日常的に行われているかがわかるだろう。
以前当連載でもご紹介したが、共同アカウントを運営する世代である中高生の間では、Twitterアカウントの「乗っ取り」が頻繁に行われている。しかし、この場合は自らIDやパスワードを恋人などに教えており、相手が自分のアカウントにログインすることを許していた。“乗っ取った”側もアカウント主以外が書いていることを明示してツイートしており、不正アクセスやなりすましとは違うものだった。
ところが、なりすましの場合はまったく話が違う。悪意を持って相手のアカウントに不正アクセスし、相手のふりをして不利益をもたらすようなツイートをする行為を指すからだ。
中高生の間でTwitterなりすましが目立つ。その背景と問題点についてご紹介していきたい。
2017年になって、高校生によるTwitterにおけるなりすまし事件が次々と報じられている。
定時制県立高校男子生徒(犯行当時19)は、殺人事件被害者(21)のTwitterアカウントを乗っ取って死者になりすまし、不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕された。男子生徒は、男性のアカウントからYahoo!アカウントをたどり、パスワードを忘れた時に聞かれる質問からパスワードをつかんでいた。
アカウント名やアイコンを変更したり、「海の底からこんにちは~!復活だよ!」などとツイートしたほか、アノニマスを装うツイートなどを計31回していた。男子生徒は、「自分のコンピュータ知識を認められたかった。亡くなった人のTwitterに投稿すれば話題となり、注目が集まると思った」と、自己顕示欲のためにやったことを認めている。
若者は単純なID、パスワードを設定している例が多く、不正アクセスできたことなどまったく自慢にならない。そもそも死者になりすますこと自体、非常に不謹慎な行動だし、男子生徒の思慮の浅はかさに驚くばかりだ。
兵庫県の高校3年生男子生徒(18)は、Twitterで女子生徒に人気がある同級生になりすましたとして不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕された。男子生徒は、同級生のTwitterアカウントに63回不正アクセスし、フォロワーだった女子生徒17名にDMを309回送信した。
男子生徒は同級生を装い、「エロい話をしよう」などと女子生徒らにDMを送信し、自撮りのわいせつ画像を送らせるなどしていた。アカウントのパスワードは名前などを組み合わせたもので簡単に推測できたという。男子生徒は女子生徒に人気がある同級生に憧れ、同級生になりたかったというのが実際のところだろう。なりすましによって、Twitterの中だけでは女子生徒に人気がある存在になれたのだ。
芸能人になりすましたTwitterアカウントはよく見かける。Twitterの中だけでも芸能人になることでたくさんのフォロワーがつき、たくさんリツイートされるので気分がいいのだろう。どのケースも、なりすましは手段にすぎない。なりすましをすることで理想の存在となり、思いのままに振る舞いたいと考えて、安易に不正ログインしてしまっているのだ。
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