男子中高生が、SNSの中でどのように振る舞っているかご存知だろうか。女子中高生がコミュニケーションを密に楽しんでいるのに対して、男子中高生は友人や知人に対して優位に立とうとすることが多い。
日本を含む世界18カ国の男女を対象としたKaspersky Labのソーシャルメディアに対する調査 (2017年1月)によると、男性の方が思い通りに「いいね」がつかないと腹ただしく感じる傾向にある。男性の24%、つまり4人に1人は「いいね」の数が少ないと友だちから人気がないと思われることを危惧しており、女性の17%より多かったのだ。また男性の29%は、自分にとって大切な人が投稿に「いいね」してくれないと腹ただしく感じるという。
「いいね」のためには、男性は嘘をついたり他人をおとしめたりすることもいとわない傾向にある。「実際に行っていない場所に行ったふりをする/してないことをしたふりをする」投稿をする割合は、全体では12%、男性では14%に上る。「いいね」をたくさんもらえるのであれば、男性の14%は「同僚の秘密の情報」を、12%が「友だちの秘密の情報」「友だちの恥ずかしい情報」を投稿すると回答しており、女性の2倍以上となっている。
さらに、男性の15%は「酒に酔った友だちの写真を投稿する」(女性は8%)、12%は「露出の多い服を着た自分の写真を投稿する」(女性は8%)、9%は「自分の裸の写真を投稿する」(女性は5%)と回答するなど、自分自身や友達を辱める投稿もしがちだ。
「いいね」は承認欲求を満たし、ソーシャルメディア上で社会的な存在価値を確認することができる。男性は社会的な生き物なので、この傾向がとても強いようだ。今回は、男子中高生のSNSにおける問題とその理由を取り上げたい。
少し前の調査結果だが、エンターブレインの「SNSアプリユーザー行動心理レポート(PDF)」(2012年4月)によると、初めての課金アイテムは男性が「ステータスアップアイテム」で、ゲームを有利に進められるところに課金したのに対して、女性は「アバターアイテム」と、キャラクターをカスタマイズできるところに課金する割合が一番高かった。
つまり男性は強くなるために課金し、女性はコミュニケーションのために課金する傾向にあるのだ。男性は強くなって友人や他人に勝ちたいし、女性は関係性の中で優位感を味わいたいと考える。男性も女性も、他人より優位に立ちたいとか、他人からすごいと思われたいという感情は共通している。
大学1年生男子A男は、しばらく大学でランチ抜きとなってしまった。「あと少しで(スマホゲームの)ランキングに載ってレアアイテムをもらえると思ってがんばりすぎた。気づいたら1限の単位は落とすわ、課金に手を出してランチ抜き」と反省していた。あと少しで上位に行けると思ったとき、課金がやめられなくなったのだという。
中学2年生男子B輔は、親への反発からスマホゲームにのめり込み、それまで学年上位だった成績が急降下。「ゲームをしているときは何も考えないで済むし、やればやるほど強くなる」。不登校になり、学校には行かなくなった。進学のことを考え始める時期だが、すでに無理だと諦めており、不安感からより一層ゲームにハマり、寝ないでプレイをする日が続いているという。
スマホゲームはゲームがプレイできる体力が戻るまでに時間がかかるから、やり続けることはできないと考える人もいるかもしれない。しかし、逆に体力が戻るまでの時間が気になり、ハマってしまう人が多い。前述のB輔は、「夜中でも体力が戻る時間にタイマーで起きる」。親にねだってはいるが、中学生なので課金には限界がある。体力が戻ったら必ずプレイしないと、重課金勢には叶わなくなってしまうからだ。
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