何を食べるかを決めるときを想像してみて欲しい。「季節のおすすめ」メニューに引かれたり、ほかのテーブルに運ばれてきたものを見て「あれと同じものを」と言ったり、あるいは、友人が頼むものと同じものにしたり。こうした例なら、「自分が人の影響を受けた」と分かるが、実際には、日常生活のほとんどあらゆる自分の行動が、外からの影響を受けているとしたら。
本書は、本人に自覚がないにもかかわらず、影響を及ぼし、行動を決めさせるモノの力について、さまざまな事例や実験を元に分析している、非常に興味深い1冊だ。例えば、よく目にしていると自覚がなくても、より多く目にしているものを好ましいと思う現象。「同調圧力」があるということは認めながらも、「自分だけは違う」と思う現象。いち早くあるバンドのファンになったものの、ファンが増えてくるにつれて、「初期の作品は良かったんだけどね」と言い始める現象。どれも、自覚がないだけで、周囲や社会の状況によって自分の行動が決定されていく。
こうした「インビジブル・インフルエンス(見えない影響力)」があるからといって、その善悪を判断するわけではない。ただ、見えない影響力を知ることで、営業活動やマーケティングに利用することも可能であるし、自分の行動や決断を見直すきっかけにもできる。
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