UPDATE Mozillaは米国時間2月2日、「Firefox OS」のコネクテッドデバイスへの搭載を担当するチームの解散を従業員に伝えたという。この件に詳しい情報筋が明らかにした。今回の人員削減の影響を受けるのは約50人。チームを統括していたシニアバイスプレジデントのAri Jaaksi氏は、Mozillaを去ることになる。チームのソフトウェア担当ディレクターのBertrand Neveux氏もMozillaを離れることを同僚に伝えた。
Mozillaは2日、同チームの解散が事実であることを認めた。
Mozillaは以下のようにコメントした。「われわれはIoTの機会に対する内部のアプローチを変更した。その目的は、商業製品の発売と拡大から、研究と高度な開発へと焦点を移して、コネクテッドデバイス担当チームを解散し、IoTの取り組みを新興技術への注力強化に組み込むことだ」
Mozillaのコネクテッドデバイスチームの開発したソフトウェア(Firefoxと同じ中核技術がベースになっていた)が広範に普及したことは一度もなかった。最大の成功は、パナソニックの4Kテレビに搭載されたことだが、Jaaksi氏は2016年9月、Mozillaが「『Firefox OS』搭載テレビはわれわれの商業パートナーによって運営されるべきプロジェクトであり、Mozillaが主導すべきプロジェクトではない」と結論づけたことをメーリングリストで明かしている。
コネクテッドデバイスへの取り組みは、より野心的なプロジェクトだったFirefox OSの残滓に既になっていた。Mozillaは、Firefox OSがGoogleの「Android」やAppleの「iOS」に取って代わるスマートフォンOSになることを期待した。Firefox OSは初期の頃こそ将来性を示し、複数のビジネスパートナーを獲得したが、今から1年前、MozillaはFirefox OS搭載スマートフォンのプロジェクトを終了し、コネクテッドデバイスだけに的を絞った。
IoTに関する取り組みの一部は新興デバイスチームで継続されるが、その対象は、具体的なデバイスや設計ではなく、長期的に有益となる可能性のあるプロジェクトに向けられる。
例えば、「Project Vaani」の目標は「Amazon Alexa」のような音声インターフェース技術の構築だが、最終的には、関連する「Project Pipsqueak」を通して、データをインターネットサーバに送信せずにそれを実現することを目指している。これは、プライバシーの改善を目指すMozillaの取り組みとも合致する。別のプロジェクトである「Voicebank」の狙いは、音声を認識する人工知能(AI)システムの訓練に必要な音声サンプルを大量に収集することだ。
情報筋によると、MozillaのAIプロジェクト「DeepSpeech」の担当チームは、新興技術グループに移されたという。
Mozillaの新技術への取り組みは苦戦を強いられたが、経済的に厳しい状況には至らなかった。最新の税務報告によると2015年の売上高は4億2100万ドルで、米国のYahooやロシアのYandex、中国のBaiduとの提携が功を奏した。
Mozillaによると、影響を受ける従業員の一部は同社で新しい役割を与えられ、職を失う従業員は解雇手当や求職支援を受けられるという。約50人が人員削減の影響を受けることになるが、数名はMozillaにとどまる可能性がある。同社が解雇の影響を和らげるために早期に新設した職務に応募できるためだ。
全体としては、Mozillaは雇用を進めている。「何かを成し遂げられるのは、従業員のおかげだ。それを忘れたわけではない。今回の決断は簡単ではなかった」(Mozilla)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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