Mediumの4倍成長は、メディア業界の最も悲痛なパラドックスの一例だ。読者は増加するのに、売上高は落ちている。メディア企業は自転車操業だ。安定したビジネスモデルはない。
すべては、広告が、かつてない低コストと、GoogleとFacebookからの広範囲な広告リーチと競う必要があるためだ。
私に言わせれば、これはインターネットとそれを支えるビジョナリーやコンピュータのエキスパート、ソフトウェアエンジニアなど、世界トップレベルの頭脳集団の集合精神が犯した深刻な過ちだ。
多数のトップレベルの頭脳がインターネットで結ばれているというのに、商業ニュースメディアはいまだに、より高品質なメディアを構築することに再投資できるほどの利益を出す方法を見出していない。
私は2005年にFinancial Timesを退社して以来ずっと、商業メディアがもうける方法を見つけない限り、社会が不愉快な方法──例えば特定利益集団による偽情報の増加など──でその代償を支払うことになると警告してきた。
人々は読むべきニュースメディアに対価を払おうとしないが、特定利益団体は、人々に読ませたいメディアに喜んで金を出す。
われわれは、経済、環境、エネルギー、教育、高齢者医療など、多様な問題について重要な決定をする必要がある。
触れる情報の質が悪ければ、質の悪い決定しかできないだろう。ソフトウェアエンジニアの言う、GIGO(ごみを入れれば、ごみが出て来る)というわけだ。
事態はさらに悪くなっている。無料オンラインメディアの時代になり、言論の自由の価値は無くなった。オンラインで見られないものは存在しないのと同じだ。
現在、特定利益団体は、膨大な数の人に見せたいあらゆるものへのアクセスを、非常に簡単に金で買える。いつの時代でも、影響力は金で買えるものだったが、今日では、それが産業規模で可能だ。
そして、影響力のあるすべての技術──広告技術産業の強力なパーソナライズ技術など──も金で買える。
公平ではない。そして、民主主義にとって危険だ。ここにこそ、大きなイノベーションが求められているのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境