打倒メルカリ--フリマアプリ「フリル」、楽天とのタッグで“独自の価値”創出へ

藤井涼 (編集部)2017年01月25日 11時00分
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 2016年9月、フリマアプリ「フリル」を運営するFablicが楽天に買収されることが発表された。国内のフリマアプリ市場は「メルカリ」がほぼ“独走状態”でトップシェアを維持しているとはいえ、日本初のフリマアプリとして市場を牽引してきたフリルのニュースに驚いた人も多いはずだ。

 「メルカリは素直に強敵だと思うし、何よりもすばらしい経営陣がいる。(メルカリ創業者の山田進太郎氏は)僕よりも起業家としての経験があり、戦略においても下手な手は打たない。フリマアプリというプロダクトを先に作ったのは僕らだが、サービスを成長させる経営力は彼らの方が上だった」――Fablicの創業者である堀井翔太氏は、急成長を続けるメルカリをこう評価する。

Fablicの創業者である堀井翔太氏
Fablicの創業者である堀井翔太氏

 ただし、それはあくまでも経営陣や資金調達額など“経営力”の差の話であり、「(フリマアプリという)プロダクト自体や機能に何倍も差があるとは思えない」と堀井氏は話す。そこで、再びメルカリと渡り合うために堀井氏が選んだのが、同じくフリマアプリ「ラクマ」を提供している楽天の傘下になることだった。売却額は明かされていないが、数十億円規模とみられる。

 現在は、楽天の二子玉川本社に週に1~2回出向き、コミュニケーションを続けているという堀井氏。楽天流のKPI(重要業績評価指標)のマネジメント管理ノウハウなどを学びつつ、さまざまな領域における両社の連携について議論しているという。

 両社の取り組みの第1弾となったのが、フリルにおける販売手数料の無料化だ。フリルでは商品が売れると10%の手数料が発生していたが、楽天から資金面の支援を受けて、2016年10月にこれを無料化。さらに、俳優の山田孝之さんを起用したテレビCMを10月22日から放映した。フリマ会場で商品が売れるや否や管理人役の山田さんが現れ、売り手から販売手数料を持ち去るという内容で、テレビドラマ「闇金ウシジマくん」で、闇金業社の社長役を好演した山田さんならではの演技力が光った。


 このテレビCMが好評だったこともあり、アプリのダウンロード数は1月時点で650万を突破。また、10月は9月と比べて出品数が178%となり、取扱高も166%に増えたほか、11月も10月と比べて出品数が135%、取扱高が163%に増えるなど「プロダクトのKPIは大幅に伸びた」(堀井氏)。そこで、当初10月~12月までの期間限定で実施する予定だった販売手数料無料化を、2017年1月以降も継続することを決めた。現時点で、終了時期などは設けていないそうだ。

 CM効果で新規ユーザーが増加したこともあり、ファッション中心だった出品ジャンルの幅も広がっているという。特にユニークなのが、米や野菜、果物などの生産者が、消費者に直接販売している例だ。同社によれば、2016年秋ごろから作物の取引が増えており、現在100名近い生産者が日々作物を出品しているという。そこで同社は1月25日に作物専用サイト「FRIL ファーマーズマーケット」を開設した。フリルに出品されている作物を自動的にピックアップして、産地や日種別に時系列で表示するもので、フリルがお勧めする生産者を紹介するコーナーも用意した。

「FRIL ファーマーズマーケット」
「FRIL ファーマーズマーケット」

「決済」と「物流」が勝負の分かれ目

 こうした楽天による資金面での支援のほか、今後はそれぞれの顧客基盤や各サービスを連携させる。すでに一部のサービスとの相互送客を始めているそうだが、2017年以降は楽天会員IDによるフリルへのログインを可能にするほか、「楽天スーパーポイント」を活用したポイントキャンペーンなどを実施する予定だという。

 現状のフリマアプリ市場について堀井氏は、「プロダクトの機能自体に大きな差がないため、いかに資金調達をしてプロモーションによって認知させるかという、米国的な戦いになっている」と分析する。

 そのうえで、今後はアプリ上で発生する決済や、商品を届けるための物流網をどれだけ強固にできるかが、勝負の分かれ目になると話す。たとえば、米国のオークションサービス「eBay(イーベイ)」は「PayPal(ペイパル)」を、中国のEC最大手「Alibaba(アリババ)」は「Alipay(アリペイ)」を傘下に持ち、自社グループ内で決済までを完結させていることからも分かるだろう。

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