打倒メルカリ--フリマアプリ「フリル」、楽天とのタッグで“独自の価値”創出へ - (page 2)

 そこで堀井氏が期待しているのが、楽天のもつ巨大な“経済圏”だ。たとえば、フリルで売れた商品の代金を現金化せず、そのままECモール「楽天市場」や旅行予約サイト「楽天トラベル」の支払いに使うといった連携はそう難しくないだろう。また、仮にクレジット決済「楽天スマートペイ」を導入したリアル店舗での支払いにも使えるようになれば、「インターネットの世界にはない経済価値が打ち出せる」と堀井氏は語る。

 「2017年はメルカリが作れないような独自の価値を作る年になる。楽天グループのアセットを活用することは大前転だが、そこからさらに両社の組織やプロダクトの連携も強めていく」(堀井氏)。

フリルは女性ユーザーが中心で、半数以上がファッションに関する商品が入札されている
フリルは女性ユーザーが中心で、半数以上がファッションに関する商品が入札されている

 楽天のフリマアプリ「ラクマ」との関係も気になるところだが、両アプリは競合にはならないと堀井氏はみている。フリルは女性ユーザーが中心で、半数以上がファッションに関する商品が入札されているのに対し、ラクマは男性ユーザーも多く、エンタメ/ホビー、キッズ/ベビー、コスメ/美容など幅広いカテゴリの商品が入札されているためだ。月間流通額は明かさなかったが、2つのアプリの流通額を合算した場合、現在100億円を超えるメルカリの「3分の1程度」(同社)だという。

 では、今後フリルとラクマが統合する可能性はあるのだろうか。この疑問について堀井氏は、マーケティングや機能開発を一本化できるという側面でみれば、将来的に統合する可能性はゼロではないとしながらも、現状は双方のユーザー属性が大きく異なることから、「すぐに統合する予定はない」と否定した。

「梱包代行サービス」の可能性は?

 ところで、筆者がフリマアプリを使っていて日々感じる不満が、商品の“梱包”の手間だ。いくらスマホによって出品が楽になったとしても、梱包材を買ったり、配送中に壊れないように包んだりする面倒な作業は、PC時代のオークションサービスと変わっていない。もし、各社が梱包まで代行するようになれば、フリマアプリの取扱高は劇的に上がるのではないだろうか。すでに米国などでは、こうしたニーズに応える梱包・配送代行サービスも生まれている。

 梱包代行については堀井氏もニーズがあると感じており、実際に2016年2月に1カ月限定で、フリル内で梱包代行サービスを提供したことがあるという。渋谷から2キロ以内の範囲で商品が売れた人に対して、梱包を代行する旨をプッシュ通知するもので、堀井氏が自らバイクで依頼主の家まで商品を引き取りに行き、社内で梱包をして配送したという。1カ月間の依頼件数は100件ほどあり、一度頼んだ人のリピート率は30~40%とかなり高かったそうだ。

 こうした結果を受け、将来的には梱包代行サービスを正式に提供したいと考えているが、現状では専用拠点や物流網が必要になるため、同社単体では難しいと堀井氏。また大手物流事業者も、マネタイズの問題からすぐに梱包代行サービスを提供するとは考えにくいと説明する。ただし、ユーザーのニーズは高いことから、親会社の楽天と進めるのか、または他のスタートアップなどと組むのか、今後もさまざまな可能性を模索したいとしている。

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