さまざまなモバイルプラットフォームが生まれては消えていった。そして、今はっきりしているのは、「iOS」と「Android」の複占状態を崩せるものは何もないということだ。
Cyanogenは最近、モバイル市場から慌ただしく立ち去り、Microsoftは数十億ドルを投じたにもかかわらず、市場で頭角を現すことはできなかった。そうしたことからも、AppleとGoogle(そこにサムスンを含めてもいいだろう。同社はAndroid搭載ハードウェアメーカーとして唯一、大きな収益を挙げているとされる)が、いかにうまくやっているかが分かる。
モバイル市場の特徴は、見かけによらず大規模であることだ。2016年のスマートフォンの販売台数がほぼ15億台だったことを考えれば、第三の企業がこの市場で地盤を固めるには、ほんの少しのシェアを削り取れば済みそうに見える。
多くのプラットフォーム──「Cyanogen」「Tizen」「Firefox OS」「Windows Mobile」など──が挑戦し、すべてが失敗した。しかもみじめな失敗だった。
PCでは「Windows」と「macOS」が複占しており、ブラウザ市場が「Chrome」「Internet Explorer」「Firefox」のトロイカ状態だ。それぞれの市場には、これを揺るがそうと挑戦し、失敗したサービスの長いリストがある。同様に、モバイル市場の成熟は、いかなる企業にとっても市場参入への警告になる。
何十億ドルもの金が、この複占状態の切り崩しのために投じられたが、それよりも(拡張現実や仮想現実、音声アシスタント、人工知能などのような)新たな市場やニッチ市場の立ち上げに費やす方が良かっただろう。
iOSとAndroidがモバイル市場での勝利を分かち合っているとはいえ、実質的な勝者はiOSを擁するAppleだ。Appleのモバイルハードウェア市場でのシェアは20%以下だが、収益では全体の大部分を占める。Android陣営では、Google以外で収益があるのはサムスンだけで、他のメーカーはAndroid搭載スマートフォンの製造を選んだことで金を失っているとの報告もある。
そして、AndroidはAppleの成功にとっての鍵でもある。Androidの、特に低価格帯市場での支配が、この市場への新たな参入を不可能にしているからだ。これは共生関係であり、AppleがAndroid全体の失敗を望むことはない。また、ハードウェアメーカーはAndroidからわずかな収益を得ようと必死なので、失敗する可能性が高い新たなプラットフォーム構築に時間を割くつもりはない。
だから、モバイル市場に新たな企業が参入するたびに興奮するのはやめよう。もう終わったのだ。それよりも、スマートフォン以外でどんな新しい分野が切り開かれるかに注目しよう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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