ヤマハは1月16日、音声合成技術「ボーカロイド」を教育現場にも活用すると発表した。ICTを活用した音楽教育ソリューション「Smart Educations System」の第1弾として、デジタル音楽教材「ボーカロイド教育版」をリリース。あわせて、「器楽」の授業に役立つ「ギター授業」「箏(こと)授業」を発売する。
ボーカロイド教育版は、歌詞やメロディを入力することで“歌づくり”ができるデジタル教材。歌詞をひらがなとカタカナで入力し、音の高さや長さをタブレットやPCの画面をタッチしながら入力できるというもの。入力した歌詞や音を即時にボーカロイドで再生できることが特長で、何度も試行錯誤して歌づくりができる。
再生は、男声、女声の両方に対応し、最大4パートまで曲を重ねることが可能。混声4部合唱や副旋律をつけて合唱曲にも仕上げられる。完成した曲は「出力機能」によりWAV形式で出力が可能だ。
DVDパッケージで提供し、WindowsのタブレットやPCから使用が可能。発売開始は2月7日。税別価格はシングルライセンスが2万円で、校内無制限ライセンス(同:オープン)も用意する。
ギター授業、箏授業は、専門家による「解説・模範演奏動画」を通じて、指使いや音色を学習できるデジタル教材だ。演奏に必要な「予備知識」を動画で学習できるほか、楽器の各部名称や構え方などの基礎知識も身につく。
いずれも1人ひとりのペースに合わせて、細かい単位で学習できる「スモールステップ」を導入することで、わかりやすい学習内容を提供。ギター授業には「カントリーロード」「情熱の花」「スカボローフェア」、箏授業には「さくらさくら」(初級)、「さくらさくら」(上級)、「六段の調」(冒頭)を収録し、曲をフレーズごとに区切って練習できる。
両教材ともに発売は3月上旬で、シングルライセンスが税別価格7500円。校内無制限ライセンスが年間1万5000円。校内無制限ライセンスはストリーミングでの提供になる。
ヤマハでは、教育現場のICT化を受け、デジタル教材のニーズが高まると予測し、2014年からSmart Educations Systemのプロジェクトをスタート。開発段階において15校で実証授業を重ね、現場の声をフィードバックしながら作り込んでいった。
作曲に加え、ギターや箏などは、特別な素養が必要で、学校の授業においては「やりたくてもできない」と感じている指導者もいるとのこと。ヤマハの研究開発統括部新規事業開発部部長である剣持秀紀氏は「そうした悩みを解決するため発売にした」と、Smart Educations Systemの導入の背景を話す。Smart Educations Systemには、指導者向けの「授業モデルパック」が付属し、授業に適した内容になっている。
全教材ともに、Windowsのタブレット、PCで使用でき、Macは非対応。これは、8割強の学校がWindowsを導入している現状を受けてのもので、Mac版の対応も開発検討項目の1つとしている。ヤマハでは、2020年までに2000校の導入を目指す。
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