このAirPodsは、軸の部分に重みがあるため、耳に入れたあとはその重みでうまく安定しているような印象を受ける。作業に疲れたので、ちょっと首を回す──といった動作をしても意外と安定していて外れない。付けていても、不安に感じることはなかった。弊社には、ジョギングで使用しているというスタッフがいるほどなのだが、やはり落としたときのリスクを考えると一般的に推奨できるものではないだろう。所有している人に聞いても、「意外と外れない」と意見はおおむね一致するが、下からの突き上げに弱いので、使い方に注意したほうがいいとの声もあった。
ある程度髪の長さがある人なら経験があるかもしれないが、筆者の場合、標準のイヤホンに限らず、従来のコードがあるタイプは、バッグを持ち替えたりマフラーを直したり、髪をかき上げたり……といったちょっとした瞬間にひっかかって片方が外れてしまうことがよくあった。従来、耳にかけるタイプの「Bang & Olufsen EarSet 3i」を使用していたが、それでも結構な頻度で外れるので「そんなもの」と思っていた。AirPodsによってそうしたストレスがなくなったことで、思いのほか快適に感じる。
なお、オンイヤーヘッドホン型のワイヤレスヘッドホン「Beats Solo3 Wireless」も気に入っていたのだが、折りたたんでもそれなりの大きさがあるので、使用する時と場所を選ぶ──と感じていた矢先に登場したのがAirPodsだ。
一方で不便に思うこともあった。音量の調節や曲のスキップなどの操作は、iPhoneやApple Watchなどで直接端末を操作する以外は「Siri」による音声操作になる。
AirPodsの外側をダブルタップすると、Siriが有効になる。「お気に入りのプレイリストを再生して」「音量を上げて」「次の曲にスキップして」「AirPodsの充電残量は?」──といった具合で話しかけると、操作したり、バッテリ残量がわかったりする。
試した印象では駅のホームでもそれなりに認識はしてくれたのだが、そもそも人混みの中では気恥ずかしいし、電車の中でも同様だ。その点において、EarPodsのリモコン操作に慣れていた人には、やや使い勝手が落ちると感じる部分もあるかもしれない。
また、EarPodsはリモコン使って「写真」アプリの「レリーズ」(有線リモコン)として使えるが、AirPodsにその機能はない。
しかし、Apple Watchを持っているなら、曲を操作する手間はかなり軽減されるだろう。また、iPhoneを取り出したり操作する手間はかかったりするが、iPhoneで操作するのがいいと感じる。
なお、AirPodsの使用中に電話がかかってくると、アドレス登録している人ならSiriが名前を呼んで教えてくれる。ダブルタップして電話に出るとそのまま会話が可能だ。
EarPodsとAirPodsを比較すると、格段に音がよくなったということはないように感じる。あまり好みが分かれることのないだろう、「普通にいい音」という印象だ。そのため、価格だけで比較すれば、ほかにもいヘッドホンがあるのかもしれない。なお、音漏れも再生する音量によるのだろうが、適度な音量で再生している中で電車に乗り、隣にいる家族にチェックしてもらったが「聞こえない」とのことだった。
また、耳を完全にふさぐわけではないので、没入感や臨場感といったものは薄くなるが、逆に適度に外の音が入ってくるので音楽を聴きながら道を歩いていても安心できる。もっと音楽に集中したいときは、オーバーイヤーヘッドホンなど別の方法をおすすめしたい。
AirPodsの利用価値は、これまでにない使い勝手で、(それなりに)いい音で聞けるというところにある。使い勝手がよくなることで、音楽や映像がより身近になると、疲れたときにお気に入りの音楽で癒される、ちょっとリズムのある曲でテンションを上げて元気を出す──といったことができる。こんなちょっとしたことで日々の生活が楽しくなるなら、この価格の価値はあると感じる。
なお、長く使ってきてやや気になるのは、そのまま使っているとケースにキズがついたりケースの中がホコリで汚れてくることだ。キズ防止のためには、購入時からなにかケースを用意することをおすすめしたい。筆者はなつかしのiPodソックスを使っている。ケースの中は、気がついたときに柔らかい布で軽く拭くようにしている。
最後に、AirPodsに向いている人についてまとめた。下記の項目に該当する数が多い人ほど、オススメしたい製品だ。
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