未来へのヒントがみつかる次世代デジタル戦略

面白法人カヤックの「エゴサーチ採用」--検索結果が“履歴書”に - (page 2)

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クリエイターに、世の中に、勇気を与える取り組み

――エゴサーチ採用に限らず、御社では若者のインサイトを刺激する企画を次々と実施されています。たとえば、「突破クリエイティブアワード」創設の意図などを教えていただけますか。

みよし氏:「突破クリエイティブアワード」は、「怒られるアイデアって面白いよね」という言葉に端を発した企画です。キャッチコピーにもなっている「その企画よく通したな!」という企画って、裏側を聞きたくなるじゃないですか。どうしても聞きたいから、賞を作っちゃえと(笑)。

「突破クリエイティブアワード」
「突破クリエイティブアワード」

――賞は難しいですよね、乱立しているし、受賞作がかぶってしまったり……。

みよし氏:突破って、世の中の空気でもあると思うんです。今って、実現したら面白いだろうなということも、小さなクレームやほんのいくつかの「イヤ」という声でなくなってしまったりするので、もったいないなと。やっぱり作り手には「やっちゃえ!」と思って欲しいし、受け手は少しやさしい目で見て欲しいので、突破クリエイティブアワードが、少しでもその後押しになれればと、共催のバーグハンバーグバーグさんとは話しています

――そういう世の中の空気感ですとかホットワードをつねにいち早くアウトプットに絡めていくのがカヤックさんだと思います。最近では「VR寿司」や「AI女子高生りんな」の女優デビューなどの話題も提供していますね。

兼康氏:りんなの件のきっかけは、フジテレビさんから春の「世にも奇妙な物語」で放映、大ヒットした「ががばば」以上のスマッシュヒットを作ろうという、ありがたくも大変ハードルの高いお声がけをいただきまして。世の中的にもAIが注目されていて、りんなが「世にも奇妙な物語」に出演したら絶対おもしろいだろうな、と思いついたんです。

 AI女子高生りんなは、LINEですでに400万人以上の友だちがいる人気者ですから、番組の告知にもしっかりつながりますし。そこで、フジテレビさんと一緒にマイクロソフトさんに伺って、「りんなさんにご出演をお願いできませんか」とお願いしたんです(笑)。

「AI女子高生りんな」の女優デビュー
「AI女子高生りんな」の女優デビュー

みよし氏:AIに出演依頼するって面白い!それこそ、突破クリエイティブアワードに出したい言葉だね(笑)。

兼康氏:そうですね、これも「りんな、世にも奇妙な物語で女優デビュー」という実現したら面白そうな一文から始まっているんですよね。新しいテクノロジを使っていかに新しいコミュニケーションを生み出すかということは常に意識していますが、一般の方々に向けて「これが新しいテクノロジだぞ!」と、テクノロジ主語で見せても理解されづらいですし、興味を持ってもらえる人数のパイが少ないと思います。

 りんなの女優デビューは、面白そうだぞということで、マイクロソフトさんも「これはりんな史上一番のお祭りになる!」と一緒になって作り上げていくことができ、結果として反響も多く、すごく嬉しいです。

“テクノロジドリブン”は意識せず、世の中におもしろがられるものを送り出す

――VR寿司は御社の「しごと展」で発表された企画でしたね。

兼康氏:VR寿司についても、新しいテクノロジでいたずらをしようという発想から生まれたコンテンツです。高級寿司店のカウンターというVR空間で、板前さんに大トロとして寿司を握ってもらいながら、実際にはアボカドの握りを口に入れているのに「美味しい」と思ってしまうという(笑)。

VR寿司
VR寿司

――出発点はVRという注目テクノロジありきなのでしょうか。

みよし氏:すみません、これについては「寿司」始まりなんです(苦笑)。エンジニアの間で、「なんかあったら寿司をおごってもらう」という、まぁ説明すると長くなるので割愛しますが、そういう文化があるらしく、お寿司を使って何かエンジニア向けの採用でやりたいなって話していました。そこでカヤックらしさを出すとしたら、VRを使った味覚ハックとかかなと。

兼康氏:僕は作り手として楽しめるかを大事にしていて、りんなも寿司も、2014年にコードアワードを受賞した「貞子3D2」も、テクノロジを使って、いかにいたずらを仕掛けられるかがコンセプト。いたずらと言っても、クレームになる類いのものであってはならないので、気をつけるべき炎上ポイントというのはありますが、2015年のサントリーさんの「サントリー天然水の森」におけるプロモーションサイト「人類以外採用」なども、ユーザーが一緒になっておもしろがってくれることで拡散していくのが肌で感じられました。

――我々も企画を考える側の人間としていつも悩むのですが、たとえば最近の女子高生がGoogleでYahoo!を検索するようなネットリテラシーの混沌があるなかで、テクノロジというものはハードルが高いのではないかと。そういった点で、意識されることはありますか。

兼康氏:実際「AIって何?」という人もたくさんいるので、テクノロジドリブンというより、文脈を意識して組み立てています。怖いサイトがあるというだけでバズったりしますし、そこに「AI」というワードで興味を持つユーザーも組み合わさって、ひとつのうねりができればよいと思っています。

――なるほど。では最後に、今後の御社の取り組みや目指すことを教えてください。

みよし氏:カヤックらしさというのは、もちろんテクノロジの駆使に表れると思うんですが、主語がAIとかVRとかになると、ユーザーをそういうものが好きな人たちに限定しちゃうと思うんです。

 秋元康さんが「時代性と普遍性」ということをおっしゃっているのですが、わかりやすい例で言えば、いつの時代も女子高生は恋愛には普遍的に興味があって、それを表現する手段が、時代によって手紙であり、電話であり、メールになり、LINEになると。

 だから今後、カヤックが取り組んでいくものにおいても、「寿司」だったり「怖いもの」だったり、一般に広く受け入れられるものを主語として、それを時代に即した人なりテクノロジなりで表現するというスタンスを貫いていくことで、新しいものが生み出せるのではないかと考えています。

面白法人カヤック みよしこういち氏(左)、兼康希望氏(右)
面白法人カヤック みよしこういち氏(左)、兼康希望氏(右)

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