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未来へのヒントがみつかる次世代デジタル戦略

面白法人カヤックの「エゴサーチ採用」--検索結果が“履歴書”に

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 スマートフォンを中心に、オムニチャネルやIoTなどの次世代テクノロジを通じて生み出されるデジタルマーケティング戦略。そこにはアイデアやクリエイティビティが不可欠だが、それだけでは「これまでになかった体験」を提供することはできない。ユーザーに新たなエクスペリエンスを届けるために、欠かせない普遍性や本質とは何か。

 この連載では、デジタルを活用したコミュニケーション施策を発信する「コードアワード」に寄せられた作品から、デジタルマーケティングの「未来」を拓く“ヒント”をお届けする。

「エゴサーチ採用」
「エゴサーチ採用」

 今回は、デジタルを活用したコミュニケーション施策を発信する「コードアワード」2016 グッド・ユース・オブ・データを受賞した「エゴサーチ採用」の仕掛人・みよしこういち氏に話を聞き、デジタル時代の採用活動の可能性について探る。また、常に最新技術を駆使して多くの注目を集める同社の制作物や開発姿勢についても、企画部・プロデューサーの兼康希望氏に聞いた。(聞き手はD2C dot プランナー菅原太郎氏、日山雄貴氏)。

 すべての企業にとって、人材の採用は永遠のテーマだ。斬新なアイデア、個性あふれるクリエイティビティ、即戦力として期待できる経験値や光るセンス……。求めるものを持ち合わせた人材発掘のために、採用活動にはどのような進化が求められるのか。

 採用活動の多様化が進む中、面白法人カヤックでは、検索結果を“履歴書”として利用するエゴサーチ採用を実施した。同社の採用対象がウェブに携わる人材であることから、履歴書よりも検索結果の方がその人の活動履歴が分かりやすく、本人にとっても時間の負担が減ると考え、検索結果が1位のキーワードで応募できるというもの。

 応募者は名前、ブログ、作品名などを通して自身をアピールでき、かつ検索で一番上にくるワードがあれば、履歴書を書かずにエントリーできる。その大胆で斬新な手法はネット上で話題となり、またたく間に拡散。同社は応募促進に成功し、募集開始3日間で712人が応募、6人が内定した。

検索結果が履歴書代わり。採用活動をバズらせて応募を促進

――まず、「エゴサーチ採用」というユニークな企画が実現した背景や課題、狙いなどを教えてください。

みよし氏:僕らは自ら「面白法人」を名乗っているの会社なので、つねに「カヤックそうきたか!」と言ってもらえるような企画を考えなくてはと思っています。各事業のアウトプットにおいてもそうですが、それは管理部門こそ積極的に取り組むべきことなので、人事部でもオリジナリティのあることができないかなとずっと考え続けてきました。

 お笑い芸人さんと同じで、自分で自分を「面白いことやってますよーっ」と言っても面白くはなく、お客さんや就活生、中途求職者の方が、カヤックと接するなかで自然に「カヤックって面白いな」と感じる工夫が必要だなと。つまり、僕らにとっては「面白法人」をどう保っていくかが、終わりなき永遠の課題なんです。

面白法人カヤック みよしこういち氏
面白法人カヤック みよしこういち氏

――たしかに、御社は会社名でハードルが上がりますね(笑)。ただ、履歴書というのはいつまでも紙やウェブの印象が強く、オリジナリティのある採用方法自体がハードルになるのかなとも思ったのですが、エゴサーチ採用ならいけると思えた突破口のようなものはあったのでしょうか。

みよし氏:「エゴサーチ採用」っていう単語を聞いた瞬間に、もう絶対やろうと思いました。だって、もうこの単語のエネルギーがヤバいじゃないですか(笑)。

 まじめな返しをすると、エゴサーチ採用がいけると思った理由は2つあります。1つは、カヤックはこれまでにも、「ワンクリック採用」や「卒制採用」といった、履歴書を使わない採用キャンペーンを何度か実施していて、それがある程度の反響を得られていたこと。

 もう1つは、面接で30分ほど話した後に、「こんなこともやっているので見てください」とURLなどを伝えられ、その内容を見て「最初に教えてくださいよ!めっちゃ面白いじゃないですか!」と履歴書に書いてない活動で、盛り上がることがあったからです。だったら、その“最初に見せて欲しいもの”を先に出してもらおうということがきっかけになりました。

――まさに課題を解決しつつ、相手の経歴や実績がわかる方法ですね。とりわけ中途の求職者にはより響いたのではないでしょうか。

みよし氏:そうですね。これまでの弊社の採用キャンペーンは、面白いという評価はいただきつつも、結果には繋がりにくいこともあったのですが(苦笑)、エゴサーチ採用はきちんと採用に結びつき、効果が高かったです。現在も継続しており、利用者は毎年150~200人増、年に1~2人は内定承諾まで進んでいます。

採用活動の効率化は必要だが、応募の省略化はテーマではない

――エゴサーチ採用について、いわゆるバズといいますか、話題性としての広がり方、リーチがどれだけあったかという点は追われましたか。

みよし氏:そこはあまり気にしていなかったのですが、一時は「エゴサーチ」で検索すると、Wikipediaなどを抑えて検索結果トップになりました。一般名詞でその結果になったことは、かなり広がった証拠かなと思っています(現在はさすがに順位は下がっていますが)。あと、Yahoo!ニュースのトップにも載りましたから満足です(笑)。

――継続的に、このスキームで採用できることが重要ということですね。エゴサーチ採用について、社内の反応はいかがでしたか。

兼康氏:最初にエゴサーチ採用で入社した人が面白かったと話題になりました。ワードが「世界の三宅 巨乳 ばか」だったので……(笑)。

面白法人カヤック 兼康希望氏
面白法人カヤック 兼康希望氏

みよし氏:他の人事や事業部長からは「この人がよくカヤックに応募してきたね」というコメントがありました。たとえば、いま新規事業のディレクターをしている人は、学生起業家だったんですが、「普通の新卒採用だと絶対採れなかった人材だね」と。検索1位に挙がっていたのは、彼のビジネスを紹介した新聞記事でした。僕も、エゴサーチ採用でそんな“ビジネスモデルを作れるタイプのビジネスマン”がカヤックに応募、ひいては入社するとは思っていなかったので、驚きました。

――エゴサーチ採用について、改良や改案、拡張など今後の展開は考えていますか。

みよし氏:面接や履歴書など自分を表す方法はいろいろあると思いますが、ウェブライターやデザイナー、先ほどのビジネスパーソンのような人たちにとっては、履歴書よりも検索結果を見てもらう方が、自分の実績や実力が伝わりやすいと思うんです。

 そういった、応募者にとってこれで見てもらえるのが一番自分を分かってもらえるというか、その人に合った採用がもっと世の中に増えたらいいなと思っています。今はまた別の手法を具現化しようとしているところです。

――ES(エントリーシート)や履歴書を書かなくていいとか、応募の手軽さを重視するわけではないということですよね。

みよし氏:そういう「省略」においては、これ以上のものは今の僕には難しいなと(笑)。次は「いろんな面が見られる」という考え方になるのですが、そこに走りすぎると、麻雀が得意とかエンターテインメント的な要素が多出しがち。そうなると今度はカヤックの採用と合うかがポイントなってくるのですが、カヤックの場合はクライアントワークに限らず、ゲームや新規事業開発もあるので、そちらを生かすという発想で、また新しいことをやっていければと思っています。

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