マネーフォワードと東急住宅リース、ダイヤモンドメディアは12月5日、業務提携契約を締結したと発表した。賃貸経営を手掛ける東急住宅リースと契約オーナー向けに、新たなクラウドサービスを2017年4月より提供予定だとしている。
このサービスは、東急住宅リースとダイヤモンドメディアが共同開発している、オーナー向け賃貸収支管理システム「OwnerBox(オーナーボックス)」と、マネーフォワードのクラウド型確定申告ソフト「MFクラウド確定申告」を連携することで実現する。これにより、不動産収支管理や確定申告に関する一連の業務をオンラインで完結できるという。
通常、管理会社と契約する不動産オーナーは、月々の収支状況の報告や各種申請、入居者の募集状況などを書面かFAXで受け取ることがほとんどであり、確定申告する場合は、書面をもとに1年間の売り上げや経費を、エクセルや会計ソフトに手入力して申告書を作成するケースが多いという。この作業をクラウド化することで、管理会社とオーナーはより重要な仕事に集中できるという。
OwnerBoxでは、収支情報の共有以外の機能拡張を2017年内までに実施予定。入居者退去後のハウスクリーニングや各種見積もり承認、入居者募集開始時の条件確認といった電子承認機能のほか、管理会社からのお知らせをウェブ上で確認できる通知機能、複数の物件を所有しているオーナー向けに、建物別収支や稼働状況の把握機能を提供する。これまで月ごとでしか把握できなかった物件の状況を把握でき、マネジメントがしやすくなる。
東急住宅リースは、不動産売買・仲介の東急リバブル、施設管理の東急コミュニティ、転勤者向けサービスを提供する東急リロケーションが統合して発足した組織で、現在8万戸の物件を管理している。また、2016年9月には学生情報センターを買収し、新たに3万8000戸が加わっている。
同社代表取締役社長の北川登士彦氏は、「単独では実現できないサービスを3社で作ることができた」とした上で、「オーナーが保有する資産は不動産だけでなく金融資産もある。それぞれのポートフォリオを、オーナーにとっては全体のポートフォリオとしてマネジメントしたいという要望がある。不動産賃貸管理会社から、2社と組んで『資産運用会社』へと転換を図る。今回はそのスタート」としている。
ダイヤモンドメディアは6年前から不動産業界向けソリューションを開発している企業。東急住宅リースには、管理者の仲介業務を支援するマーケティングシステムや、賃貸向けリーシングサイトなどを提供している。
同社代表取締役の武井浩三氏は、不動産業界について「IT化が遅れていると言われ続けているのにも関わらず一向に進んでいない。さまざまなスタートアップが挑戦しては散っていくのをそばで見てきた」としている。不動産という相対取引が必然の流通業界においては、“ディスラプト”ではなく既存のプレーヤーと手を組まないと業界には浸透できないとの仮説を立て、サービスを開発しているという。
武井氏は、「オーナーの不動産資産を預かり、運用して資産価値を高めていくことが管理会社の至上命題。オーナーから見れば、自身の不動産資産をマネジメントするためのサービスとしてオーナーボックスを提供し、不動産だけでなく現金資産などをまとめた一つのポートフォリオとして、マネーフォワードと手を取ってサービスを作るのは必然だった」と述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」