Facebookは12月5日、同社のゲーム事業である「Facebook Games」の10周年を記念し、事業戦略説明会を開催。サービスを開始した、Facebook Messenger上でゲームを遊ぶことができる「インスタントゲーム」の導入をはじめとして、ゲーム事業における取り組みや狙いが紹介された。
Facebook Gamesパートナーシップ部門のグローバル責任者を務めるレオ・オレベ氏は「Facebookのミッションは、シェアの力を使い、よりオープンに、つながった世界にしていくこと」と切り出し、Facebookにおけるゲーム事業の展開や狙いについても「親しい人とお気に入りのゲームを見つけ、遊び、共有する力を与えること」と説明する。
オレベ氏によれば、世界で17億人がFacebookを利用しており、その利用時間のうち15%がFacebook Gamesにあてられているという。オレベ氏はモバイルやPCなどプラットフォームを問わず、どこでも手軽に楽しめることを利点としてあげた。また、ゲーム開発者(デベロッパー)に支払ったロイヤリティは2015年において25億ドルとも説明した。
ゲーム事業のミッションに添った機能のひとつに、「LGS」と呼ばれるライブゲームストリーミングがある。この機能に対応したタイトルをFacebook上で誰でも見ることができるという。その取り組みのひとつに、「ハースストーン」や「オーバーウォッチ」、「ワールドオブウォークラフト」などで知られる、米国大手のゲームメーカーであるブリザード・エンターテイメントと連携し、PC向けゲームクライアント「Battle.net」にプレイ映像をFacebook上で簡単に配信できる仕組みが組み込まれている。
オレべ氏は「私がオーバーウォッチのゲームプレイを実際に配信した際、ビュー数は260程度だった。少なく見えるが、配信をしたいと思う人、そしてシェアしたいと思う人が世界中に何百万人もいる」と語り、膨大なユーザーを抱えるFacebook上でゲーム配信を行うことの意味を語った。
もうひとつの大きな取り組みとなるのが、前述したインスタントゲーム。HTML5をベースにFacebook Messengerやニュースフィードを介して遊ぶことができる新しいゲームプラットフォームだ。アプリのインストールが不要で、モバイルとPC問わず利用可能。5秒程度の待ち時間ですぐに遊ぶことができる。グループチャットのスレッドで、ゲームに挑戦している友だちのスコアをリーダーボードに表示するといった機能も有している。
初期段階では30カ国で17タイトルを配信。そのなかで「スペースインベーダー」や「アルカノイド」などを提供している、タイトーのゲームディレクターを務める西脇剛志氏が説明会に同席。西脇氏は「ゲームをすぐにはじめられることや、友だちにシェアができることは、ユーザーにとって新しい体験になる。今までにないユーザーとゲームを結ぶ接点になるのは大きな期待を持てるもの」と語り、膨大なユーザーにゲームをアプローチできることは、ビジネスとしても大きなメリットがあるとした。
今回提供したのは、いわゆる“レトロゲーム”となったが、シンプルで奥深いゲーム性を持つタイトルは、インスタントゲームのコンセプトにマッチしているとし、さらに8bitの世界観は、懐かしさだけではなく、若い世代に対して新しいゲーム体験の提供や価値を提供できると語った。
Facebook Gamesパートナーシップ部門のアジア太平洋地域を務めるステファン・チュン氏からは、日本における市場動向や、今後の展開にする考え方をなどを語られた。
チュン氏によれば、日本におけるFacebookの月間利用者数は2600万人で、これは日本のネットユーザーのおよそ25%に相当するという。さらに、月間利用者数の65%にあたる1700万人が毎日アクセスしていると説明。
ちなみにNewzooという調査機関が公表したデータとして、アジア太平洋地域のゲームの売上は466億ドルと、世界規模の46%を占めるほどであり、なかでも日本は世界で3番目に大きい市場だという。チュン氏はこれらのデータからFacebookの見解として、日本のゲームユーザーは、ゲームに対してアクティブであり、なおかつお金を支払ってプレイをする層だという認識を持っているという。こうした市場データなどから、日本の市場に対してこれからも積極的に投資していくに値する市場だととらえていると語る。
チュン氏は日本におけるライブストリーミングに関して、ニコニコ生放送やLINE LIVEなどがすでに支持を得ていることから、成熟した市場ととらえているという。Facebookとしては、ゲームデベロッパとの連携を強化しながら、ライブストリーミングの分野に力を入れていくという考えを示した。またインスタントゲームについては、今後機能強化やジャンルを増やしていくことはもとより、HTML5がゲーム業界として向かっている方向だとし、将来的に大きな価値を持つプラットフォームとなることに期待を寄せているという。
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