自動運転車を手がける新興企業comma.aiは米国時間11月30日、独自のソフトウェアプラットフォームおよび関連するハードウェアモジュールの設計情報を「Github」サイトで無料ダウンロードできるようにすると発表した。これらのソフトウェアとハードウェア設計情報は、MITライセンスの下でオープンソースとして公開される。ハッカーやメーカーが自動車に自動運転機能を後付けできるようにすることが狙いだ。
comma.aiの自動運転プラットフォームは現在のところ、「LaneWatch」パッケージを搭載した「アキュラILX」と「ホンダ・シビック」でのみ動作する。comma.aiキットの自動運転機能は現時点でアダプティブクルーズコントロール(ACC:定速走行・車間距離制御装置)に対応するよう拡張されており、前方の交通渋滞に合わせて車を設定速度から減速させたり、車が車線内に留まるよう自動でハンドル操作したりできる。comma.aiを設立したGeorge Hotz氏は、comma.aiプラットフォームに匹敵する機能を備えるのはTeslaの「Autopilot」くらいだと述べている。同氏はかつて「iPhone」のジェイルブレイクで知られた人物。
Hotz氏は以前より、comma.aiは自動運転システムを1000ドル未満で提供すると約束しており、当初は既存の自動車に後付けする製品として「Comma One」を発表していた。この製品に関する取り組みは10月、中断を余儀なくされた。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)がこの製品について説明する文書の提出を求め、これに従わなければ1日ごとに最大2万1000ドルの罰金を科す可能性があるとしたためだ。
Hotz氏によると、オープンソースのハードウェア設計情報として「Comma Neo」(この名称は、Comma Oneのアナグラムだ)を「OpenPilot」ソフトウェアとともに提供すれば、市販の製品のみを管理しているNHTSAは規制できないという。
Hotz氏は、ハッカーのコミュニティーがComma Neoを取り上げて、機能の追加や他の車種への拡張を実現してほしいと願っている。
comma.aiのソフトウェアプラットフォームには、同社が1万7000時間の運転データを使って訓練したディープラーニング(深層学習)の成果が蓄積されている。Comma Neoを利用すると、車線などの視覚情報が処理されて、運転と並行して意思決定が行われる。また、comma.aiの蓄積情報からデータの共有やダウンロードが行われ、それ自体の機能や他のComma Neo装置の機能が改善される。
このハードウェアモジュールは車のバックミラーの位置に設置され、利用者は、comma.aiのOSでROMを書き換えた「Android」搭載スマートフォン「OnePlus 3」を中央に取り付ける。Comma Neoの筺体は3Dプリントできるよう設計されている。スマートフォンのカメラはシステムのメインビジュアルセンサの機能を果たし、Qualcommの「Snapdragon 820」プロセッサが視覚情報や運転中の意思決定を処理する。
Hotz氏によると、Comma NeoはOBD-IIポート経由などさまざまな方法で自動車に接続できるという。利用者はスマートフォンのデータプラン料金を負担することで、comma.aiのディープラーニング情報に接続できる。
Hotz氏は、アフターマーケットの機器メーカーと協力してComma Neoを商品化したいと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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