アムステルダムは、民間主導型で立ち上がったシェアリングシティ。2013年に設立された民間団体ShareNLを中心に、シェアリングエコノミー推進の活動が広がり、2015年にはアムステルダム市がShareNLと共同で「シェアリングシティ宣言」を発表した。
また、市内の高齢者や低所得者を対象にシェアリングサービスの割引券 “シティーパス”を発行し、あらゆる市民がシェアサービスを利用できる施策を導入。さらに、Airbnbとアムステルダム市が協定を結び、政府が宿泊税を徴収して既存産業との均衡を図るなど、独自の取り組みを世界に先駆けて実施している。
shareNLは、「社会を再構築する」をミッションに2013年に設立された民間団体。シンポジウムを開催したり、欧州の各都市とのネットワーキングを広げ、都市間学習や情報共有を目的とした世界初「シェアリングシティ・アライアンス」の枠組みを開始したりするなど、行政や海外と積極的に連携をしながらシェアリングエコノミーのネットワークを広げている。
peerbyは、shareNLとアムステルダム・シェアリングシティ・プロジェクトが運営するシェアサービス。ハンモックやテントから掃除用具まで4000点以上のモノを、同じ地域の人から無料で貸し借りすることができる。月10万件のマッチングが行われているという。
イタリアでは、2015年にミラノ万博(世界博覧会)の開催都市となり、ミラノに2000万人の来場者を迎えることとなった。これをきっかけに、交通手段や宿泊施設の不足、新たな観光の手段として、シェアリングエコノミーを導入しようと、シェアリングシティに関するさまざまな動きが広まった。
万博開催時には、1日2000人がカーシェアリングサービスを、1万人がシェアサイクルサービスを利用したという。またミラノではShareexpoや、Sharitalyなど欧州でも最大級のカンファレンスやイベントが多数開催され、市民がシェアリングエコノミーの関心を深めるきっかけとなった。
Gnammoは、家に招いて料理をもてなしたい人と、食べたい人をマッチングするイタリア発のミールシェアリングサービス。2012年にサービスを開始し、2015年時点で17万人以上が登録するなど、イタリア全土に急速に広がっている。美食の国ならではの、イタリアの郷土料理が多いのも特徴だ。
都市や街の資産を、さまざまな形でシェアすることで持続可能な社会を目指す、世界の「シェアリングシティ」を紹介した。課題先進国である日本でも、「シェアリングシティ宣言」が発表されるなど、シェアリングエコノミーに大きな期待が寄せられている。今後の展開に目が離せない。
石山安珠(Anju Ishiyama)
通称「シェアガール」
ICU卒業後、株式会社リクルート、リクルートキャリアを経て、現・株式会社クラウドワークス経営企画・一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局担当。
海外各地のシェアサービスを体験。2016年はインドネシア、イギリス、フランス、ドバイ(アラブ首長国連邦)を回る。
都内シェアハウス在住、実家でもシェアハウスを経営。
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