スマホやウェアラブル、シーブリーズを使って「子どもの集中力向上」を計測

 エフティ資生堂シーブリーズは、ジェイアイエヌやる気スイッチグループの協力を得て集中力を向上させるためのメソッドを開発した。そしてJINS MEME Flagship Store 原宿において11月8日、集中力メソッドを監修した石川善樹氏を招き、子どもの集中力向上講座が開催された。

集中のメカニズムは解明されている

 「中学受験に始まり博士の受験まで、受験を何度もしてきた」という予防医学研究者の石川氏は、集中力を出す方法を体感的に学んだという。それは、高校受験のさなかだった。問題が解けず焦っていたときに雷が落ち、それを見た途端にリラックスすることができて、その後はスラスラと回答できたという。

予防医学研究者 石川善樹氏 予防医学研究者の石川善樹氏

「ストレスがかかったあとにリラックスすると、いつも以上に力を出せる」(石川氏)。

 石川氏は、体感的に学んだ事実を調べてみたという。集中力のメカニズムはハーバード大学のベンソン教授による研究でわかっており、ストレスをかけた後にリラックスすると集中状態へ入れる。集中できない人の特徴は2つあり、ひとつはストレスのかけ方が弱い、もしくは自分にストレスをかけられないタイプ。もうひとつは、ストレスをかけた後にリラックスができない人だという。スポーツ選手はこのメカニズムを「ルーティーン」として活用しているケースが多く、例として野球のイチロー選手がバッターボックスに入るシーンを挙げ、集中力を高めるための3ステップを解説した。

 「イチロー選手はまず、素振りをする。これは理想のスイングをイメージしている。イメージすることは大切で、勉強するときもどうやって自分がそれをやるのかをイメージすると、ストレスを徐々に高められる。次に、イチロー選手は遠くを眺める。人の目は遠くを見ると緊張し、近くを見るとリラックスするという性質がある。勉強の場合は、窓の外を見るなどして遠くを見るとよい。最後に、イチロー選手は左腕に付けている香りを嗅ぐ。これはグレープフルーツの香水を嗅いで、リラックスするためだ」(石川氏)。

  • 野球選手イチローのルーティーンには集中メソッドが生かされている

  • 「爽快!集中ステップ」の3ステップ

  • 「爽快!集中ステップ」の検証に使われた、JINS MEME、パターンブロック、シーブリーズ

 石川氏はハーバード大の先生に「うかつに勉強を始めるな」と言われていたエピソードを話し、「勉強の場合、バッターボックスは机。ルーティーンをしている子どもの方が強い」と語った。

 さらに、ロシアの心理学者の教育思想をルーツとする「ツールズ・オブ・マインド」という教育法について述べた。「おままごとをする前にイメージしてから遊ぶと、脳の発達が早いことが知られている。人の脳はシミュレーションしてから実際に行うと、イメージとのずれから学べる。つまり、1回イメージすると2回勉強したことと同じになる。記憶の定着力も違う」とした。ストレスをかけた後にリラックスするには、テクニックが必要だという。そこで、受験生に向けて「爽快!集中ステップ」を作った。

 「まず、目標の行動を強くイメージする。次に、その場でジャンプする。ジャンプすると脳に酸素と血液が送り込まれてストレスがかかる。30分座りっぱなしだと脳に酸素と血液が行かないため、眠くなり、集中力も落ちてしまう。最後に、リラックスする。そのためには、シーブリーズを首元に塗るか、冷たいシャワーを浴びるかがよい。しかし、毎回シャワーを浴びるのは大変なので、シーブリーズを使っての効果を“JINS MEME”を使って検証したが、予想以上に良い結果を得られた」(石川氏)。

 JINS MEMEでの計測によると、「爽快!集中ステップ」を実施したところ、平均集中時間が126%延びたという。また集中ポイントは、平均4.1ポイント上昇した。「ぜひ一度試してみてほしい。ルーティーンとして取り入れれば、本番の試験でも集中できる」と石川氏は語った。

能力の少し上を学ぶと学習効果が高い

JINS MEMEグループ 井上一鷹氏 JINS MEMEグループの井上一鷹氏
  • 能力の少し上のコンテンツを与えて学習効果を上げる

 今回、集中力の計測に使用した「JINS MEME」は、「自分を見るアイウェア」をコンセプトに開発されたウエアラブルデバイスだ。目の動きを捉える3点式眼電位センサーと、体の動きを捉える6軸センサーを持つ。集中力の計測に使用した「JINS MEME OFFICE」アプリは、自身の集中力をスコアで可視化できる。

やる気スイッチグループ 佐藤広康氏
やる気スイッチグループの佐藤広康氏
  • やる気スイッチを入れる3つの要素

 JINS MEMEグループの井上一鷹氏は、JINS MEME OFFICEを「脳の万歩計」だと語る。JINS MEME OFFICEは、まばたきの頻度と強度の安定性、同じ姿勢を継続できているかを計測できるという。「アプリで記録を取ると、1日のいつ集中していたかがわかる。学生の場合なら、どの問題を解くときに集中していたかを振り返られる」(井上氏)。

 現在、学習業界ではeラーニングという、スマホで映像を見て学ぶスタイルが増えている。JINS MEMEでは、「アダプティブラーニング」へ取り組んでいる。「その子にとって能力の15%上のコンテンツを与え続けると、フロー状態という良い状態で学習が続けられる。その子の理解度、集中度を計り、コンテンツを最適化していくという研究を各所と連携して展開している」と井上氏は述べた。

 そして、やる気スイッチグループの佐藤広康氏が登壇し、保護者が子どものやる気スイッチを入れるには3つの要素が必要だと述べた。「“したい”という思いが必要で、欲しい未来をイメージさせることが大切。子どもの話を普段から聞いておき、自分の人生に興味や関心を持たせる。次に“できる”と思わせること。できるという体験をさせて、自分を信じる理由を作る。さらに“心の筋力”が大事。ゲームや漫画を取り上げず、心の栄養を満たす環境を親が管理してあげるとよい」(佐藤氏)。

 「爽快!集中ステップ」は11月9日~12月13日まで、JINS MEME 原宿店にて体験できる。JINS MEMEを装着し、パターンブロックを並べる作業で集中力を計測する。

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