身体の動きによって音を奏でる、そんな未来のガジェットがソニー「MOTION SONIC PROJECT」として、「TOKYO DESIGN WEEK 2016」で披露された。リストバンドとモジュールを組み合わせた形で、装着して腕を動かすと、速度や腕の振りによって音が変化する。動く度に全身から音が流れ出す感覚が味わえる。
MOTION SONIC PROJECTは、ソニーの若手エンジニアが「人と音の関係をリデザインする」をコンセプトに開発したもの。TOKYO DESIGN WEEK 2016で多くの人に触ってもらうことで、その可能性を探っていきたい」とソニーのブランド戦略部ブランドアクティベーション課統括課長の谷本尚遂氏は現状を話す。
音はPCの音楽ソフトウェアで作り、キラキラした「シャリーン」や、力強さを感じさせる「ビュッ」など現在は4パターンほどを用意。センサが高さや動きを感じ取り、動きで生じる風切り音などをマイクが拾うことで、動きに合った音が流れる仕組みだ。PCと本体はBluetoothで接続する。
TOKYO DESIGN WEEK 2016のブースでは、バレリーナ、ボディビルダーなどのアスリートやダンサーとのコラボレーション映像も紹介。実際に付けて動いてもらうことで、バレリーナが回転しながら奏でる音や、ダンサーの動きに合わせて音が少しずつ変化していく様子を見ることができる。
「映像作品などで、音響効果として後から付けている音をリアルタイムに自分にも聴こえる形で体感できる。コラボ映像制作に参加してくれた人は『やっていて気持ちがいい』というコメントを数多くいただいた。この反応は狙いどおり」(谷本氏)と、MOTION SONIC PROJECTが提供する新たな世界を示す。
特にダンス領域には力を入れており、踊りながら音が出るという実験的な世界を作り上げていきたいという。
あくまでプロトタイプとして紹介されたMOTION SONIC PROJECTだが、「アスリートの方たちに使ってもらう実験を通して、身体を使って音を奏でるという体験が楽しいという、私たちが立てていた仮説が証明された。TOKYO DESIGN WEEKでは、さらに多くの人に触ってもらってどんな部分を楽しいで思ってもらえるのかを検証していきたい」と谷本氏は狙いを話す。
「マイクが風切り音を拾っているため、動きにマッチした音を表現できる。腕をねじるなど、ひねりまで検知できる」(ソニーブランド戦略部ブランドアクティベーション課プロデューサーの野崎樹里氏)と動きを捉える精度はかなり高い。今後は「音の数を増やすことと小型化に取り組みたい。今回のプロトタイプではモジュールをリストバンドにつけたかなり大型のものになっているが、ソニーの技術によって、かなり薄型のスマートなものが作れるはず」と谷本氏は今後の課題を挙げた。
MOTION SONIC PROJECTは、開発自体を「オープンイノベーション」の形で進めていく新しい試みとして今後も取り組んでいく。
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