また富士通デザインのチーフデザイナーである岡本浩平氏は、F-01Jのデザインについて説明した。スマートフォンは大画面化が進む一方、手のひらには収まりにくくなるという矛盾を抱えるようになった。異なる2つの要素を同等に扱ってブレンドする、「50:50」をコンセプトとしたデザインに仕上げたとした。
前面はアルミとガラス素材でディスプレイを保護する。背面は手のひらに沿う曲線を持たせつつ、程よい引っ掛かりを与えることによって手に持った時の食い込みを抑え、持ちやすさを実現したという。それら2つの面を二層に分けて配置することにより、ソリッドなデザインの端末よりもスリムで、重さを感じにくいデザインに仕上げたとのことだ。
堅牢性に並ぶF-01Jの大きな特徴が、オーディオメーカーのオンキヨーとの協業によるサウンド性能の強化である。発表会会場にはオンキヨーの代表取締役副社長COOである中野宏も登壇し、協業の狙いやF-01Jの取り組みを説明した。
オンキヨーは長年音響機器やサービスなどを手掛けているが、中野氏によるとこの10年で、音楽の楽しみ方は大きく変化したとのこと。そうした変化に合わせて、同社はパイオニアのホームAV事業を統合し、ポータブルオーディオプレーヤーを提供するなどの新しい取り組みを進めている。
だがポータブルオーディオ事業で、より存在感のある製品やサービスを生み出すには、他社の優れた技術を取り入れて新しい価値を提案する必要があるとオンキヨーは判断。富士通グループが持つ無線技術やセンシング技術などを活用し、新しいビジネス領域を拡大するため、スマートフォンを中心とした機器開発での協業を開始するに至ったと、中野氏は話している。
その協業の第1弾となったのがF-01Jで、同機種のオーディオ出力をオンキヨーが監修。部品の選定や配置など、細かな部分をオンキヨーのエンジニアが参加してチューニングし、オンキヨーのポリシーに沿った、デジタルノイズの少ない高品位な音質を実現したとのことだ。今後も両社は協業を加速するとしており、オンキヨーは2017年にオリジナルのハイレゾ対応スマートフォンを、富士通グループとの協業によって開発し、提供したい考えを示している。
なお今回の発表会では、他にも12月発売の新しい「らくらくホン F-02J」と、法人向けスマートフォン「arrows M357」に関する説明も行われた。らくらくホンシリーズは70代以上の利用が多く、リピート率が5割を超えるなど非常に高い。それゆえF-02Jは、新たにVoLTEに対応するほか、振り込め詐欺対策に向けた迷惑電話対策機能などを搭載するものの、ボタンの押し心地からメニューの操作体系、フォントに至るまで、従来機種から変えないよう配慮しているという。
またarrows M357は、法人が利用する上での安心感を高めるため、国内で生産・保守・サポートが完結する体制を整えたほか、販売期間を2年と、長期間継続して供給する方針だ。さらにスマートフォンのアプリやセキュリティなどをカスタマイズ対応する「カスタムメイドプラスサービス」の提供や、スマートフォンだけでFeliCaカードによる決済ができる機能を搭載するなど、企業からのさまざまな要望に応じるための機能やサービスを豊富に用意する。
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