サムスンは現地時間10月11日、「Galaxy Note7」の製造を完全に終了すると発表した。発火が相次ぎ問題となった同スマートフォンが、終わりを迎えることになる。同社は10日夜、電源を切って交換に出すようユーザーに警告を発したばかりだった。
滑り出しとしては悪くないが、サムスンが世間の信頼を回復するまでの道のりはまだ遠い。
なにしろ、サムスンが直面している危機は先例がなく、2016年に入って起きたVolkswagenの大規模リコールとも、2010年に起きた鎮痛剤「Tylenol」のリコールとも異なる。韓国のコングロマリットであるサムスンは、最初のリコールだけでも十分窮地に立たされたが、交換後の端末をまたリコールするという事態に至り、その判断と安全な製品を提供する能力が疑問視されている。販売の面だけを見ても、Galaxy Note7による損失は27億5000万ドルに達する可能性があるという(Macquarie Research調べ)。
消費者の認識とブランドという点においてはさらに深刻な影響が残り、それが冷蔵庫からテレビ、洗濯機に至るまで、同社の製品ラインに大きく広がるおそれもある。
「大きな損失となるのはブランドの失墜だろう。影響は長期にわたって続くはずだ」。ジョージタウン大学マクドノービジネススクールでマーケティングの助教授を務めるSimon Blanchard氏は、このように述べている。
だが、何もかも失ったわけではない。サムスンが信頼を回復し、顧客を取り戻すために必要な手段として、以下に挙げる論理的かつ大胆な対策がある(同社から、製造終了を認めた11日の発表以上のコメントは得られなかった)。
先手を打つ: サムスンはGalaxy Note7を最初にリコールしたとき、大胆な動きを見せたが、その後の対応が煮え切らなかった。キャリアパートナー各社がいち早くGalaxy Note7の扱いに慎重な姿勢を示したにもかかわらず、製造終了を発表する前の数日間は情報を小出しに発表していた。同社は10日の早い時間帯に、製造スケジュールを「一時的に調整する」と述べ、11日には完全終了を発表している。
そのため、Galaxy Note7を購入した約100万人の顧客を対象に交換を実施する際にも、積極的な対応が必要だ。なかには、運に任せて頑なに交換を拒むユーザーもいるだろう。何台かの端末が壊れ、飛行機のじゅうたんを焦がした以上の悲劇を起こすことだけは、何としても避けなければならない。
「どの事例でも重傷者が出ていないのは幸いだ」。Creative StrategiesのアナリストであるCarolina Milanesi氏はこう語った。
補償する: Galaxy Note7ユーザーの多くは、本体を買っただけではない。ケースや充電ドックなどのアクセサリを買った人も多いだろう。端末の代替品を提供するだけにとどまらず、顧客ひとりひとりに全額を補償する必要がある。
サムスンはすでに、キャリアを通じて購入した関連アクセサリについては補償金を支払うと発表しているが、このポリシーをサードパーティー製のアクセサリにも拡大すべきだ。
サムスンによれば、Noteシリーズのユーザーは特にロイヤリティが高いという。であれば、なおのことNoteユーザーを満足させなければならない。
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