スマートフォンネイティブが見ている世界

「誕生日公開」でアカウントを乗っ取られる10代たち - (page 2)

なりすまし犯に協力してしまう子どもたち

 10代は個人情報をバラまいているだけではない。たとえば先日、LINE公式ブログの「【注意】SMS認証番号を聞き出す詐欺にご注意ください」という記事が話題になった。

LINE公式ブログ「【注意】SMS認証番号を聞き出す詐欺にご注意ください」
LINE公式ブログ「【注意】SMS認証番号を聞き出す詐欺にご注意ください」

 まず友人になりすましたLINEやFacebook Messenger、Instagramなどを通じて、「携帯番号教えて。そして、LINEの確認メッセージを認証してもらえる?」というメッセージがくる。信用して携帯電話番号を教えると、続いて「4桁のPINコードが届いたら送ってね」という連絡がくる。

 この時、SMS認証番号を教えてしまうと、犯人はその携帯電話番号を利用して新しいアカウントを作る。LINEアカウントをFacebook連携させている場合を除き、元のLINEアカウントは利用できなくなってしまうのだ。犯人は元の持ち主の電話番号を利用して、持ち主になりすまして友だちとLINEでつながり、詐欺行為を働く……ということになる。事実上のLINEアカウント乗っ取りというわけだ。

 犯人は1つのアカウントを乗っ取っては、同様の手口でその友人や家族などのアカウント乗っ取りを繰り返し、WebMoneyなどのプリペイドカードを購入させ、騙し取る詐欺を繰り返す。

 周囲の大人たちは一律に、この手口で騙される若者がいることに驚いていた。しかし、子どもたちは警戒心がない上、警告にもまったく目を向けていないため、あっさりと引っかかってしまい、アカウントを乗っ取られているというわけなのだ。

子どものセキュリティ意識を高めよう

 10代の子たちは非常に多くのサービスを利用している。そして、友だちから送られてきたらURLも簡単にクリックするし、言われたとおりに個人情報も送ってしまう傾向にある。同時に、新しい交流を求めて個人情報を公開していたり、パスワードも安易なものに設定しているケースが多い。乗っ取られる被害が多いのは当たり前なのだ。

 保護者は、子どもたちがSNSで大切な個人情報を漏らしていないかどうか必ず確認しよう。そして、IDやパスワードは推測されにくいものに設定し、他人には教えてはいけないという基本的な事柄を必ず教えてほしい。また、乗っ取り被害がどのようにして起きるかという仕組みについても教えておくと安心だ。ニュースなどでも報道されることが多いので、その度に子どもにも伝えるようにするといいだろう。

 SNSアカウントの乗っ取りは、自分が被害を被るだけでなく、周囲の人たちにも多大な迷惑をかける行為だ。子どもたちに自分の行動が周囲に与える影響についてきちんと理解させ、責任についても自覚させてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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