「Google Allo」は、「Google Assistant」が組み込まれたメッセージングアプリであり、「Smart Reply」と呼ばれる返信の自動生成機能のほか、日常生活に役立つさまざまな情報をコンピュータが生成して提案する機能がある。
だが、米国時間9月21日にGoogleが明らかにしたところによると、こうした機能をできるだけ役立つものにするため、同社はユーザーのプライバシーをある程度犠牲にしているという。ユーザーのメッセージを自社サーバに短期間だけ維持するのではなく、Googleはそれらを無期限に、あるいは少なくともユーザーが手作業で削除するまで保存するのだ。
Googleがこの日認めたように、これは5月のGoogle I/Oの開催前に、同社が一部のジャーナリストに語った内容とは異なっている。Googleは当初、メッセージを「短期的」に保存しようと考えていた。だが、Alloをテストする中で、参照できるユーザーのメッセージ履歴が長いほど、Smart Replyがうまく機能することがわかった。
この変更により、Alloは、メッセージがサービス提供企業のサーバにいつまでも残らないようにするかどうかはユーザーに任せる形をとるという点で、デフォルトでプライバシー設定を組み込んだ他のメッセージアプリとは一線を画することになる。また、これによって、ユーザーのメッセージのコピーを保存しない企業に対する世界中の政府機関の反撃に、Googleが悩まされる可能性は低くなるだろう。
「ユーザーには十分な透明性と、Google Alloにおける自身のデータを管理する権限が与えられている。基本的な考え方は、ユーザーが削除することを選ぶまで、チャット履歴は保存されるというシンプルなものだ。また、ユーザーはAlloのメッセージを個別に削除できるし、会話全体を削除することもできる」と、Googleの広報担当者は述べた。
Alloは、エンドツーエンドの暗号化を提供するとうたう「Incognito Mode(匿名モード)」も提供している。
Googleには、デフォルトでエンドツーエンドの暗号化を行うメッセージングサービスを提供しようというつもりなどなかった。Smart Replyがうまく機能するには、やり取りされるメッセージを読む必要があるからだ。もし、Googleがメッセージの保存をできるだけ短期間にとどめていたら、この新しい人工知能ベースのアプリがプライバシーに対して譲歩したことになってしまう。
同社によれば、そうした妥協はSmart Replyの機能を著しく損なっていたはずだという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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