消費者向けドローン市場に1つのトレンドが生まれつつある。それが「セルフィードローン」だ。
2015年は、DJIの「Phantom」を筆頭に空撮ドローンが市場を席巻した年となった。2016年上半期はDJIの最新モデル「Phantom4」や、Parrotの「Bebop2」が登場するなどしたが、従来の空撮ドローンの域に留まるもので、市場の興奮は2015年に比べると沈静化してしまったような印象だった。
しかし、2016年下半期に入り、中国のZerotechがセルフィードローン「Dobby」を発表。それに続きYuneecなどが続々とセルフィードローンを発表しているのだ。これらセルフィードローンの特徴は、小型ながら先端テクノロジが詰め込まれており、多彩な飛行モード、セルフィー撮影、SNSでの共有を可能にしているところだろう。
現時点ですでに販売されている主なセルフィードローンは「Dobby」、Yuneecの「Breeze」、そして竹トンボのような形が特徴の「ROAM-e」だ。価格はそれぞれ、Dobbyが約400ドル、Breezeが499ドル、ROAM-eが399ドルと、Phantomなどの空撮ドローンに比べるとかなり低く設定されている。
現在はまだ開発段階だが、近々販売が開始されるかもしれないセルフィードローンも少なくない。主なものはZero Zero Roboticsの「Hover Camera」、Nixie Labsの「Nixie」などだろう。Hover Cameraは4月に発表された際には今夏出荷予定とされていたが、販売開始時期は若干遅れているようだ。販売価格は約600ドル。
Nixieは、2014年にすでにコンセプトができあがっており、開発のための資金を調達してきたようだが、販売時期は不明だ。腕に巻きつけられるという面白いコンセプトのドローンなので、ぜひこの目で見てみたい。
uneecが作成したBreezeのPR動画などには、女性や子どもがスマホでドローンを操縦しているシーンが多いことから、各社空撮ドローンではリーチできなかった女性や子どもユーザーの獲得を狙っていることが読み取れる。
セルフィードローンのコンセプトは、Kickstarterなどのクラウドファンディングサイトで数年前に登場していたが、これらは資金調達が難しかったり、開発が遅れたりとなかなか市場に出てこなかった。
一方、ZerotechやYuneecなどは、中核となる中~大型ドローン事業で得た資金を回しながら、そうした事業で得たノウハウを活用することで小型で高性能なセルフィードローンを開発・販売することが可能になったようだ。
また、高画質動画・写真の撮影を可能にする小型プロセッサの登場も、セルフィードローン登場の大きな要因だ。実際、Dobbyに搭載されているプロセッサはスマホ向けチップ最大手Qualcommの「Snapdragon」。これにより小型ボディに画像認識、音声認識などのセルフィー向けのアプリを搭載することが可能になった。
今後チップセットがさらに小型化し、低価格化していけば、より小さなセルフィードローンが登場することも考えられるだろう。
こちらは、手のひらに収まる超小型カメラ付きドローン「CX−10w」。画質はまだまだ満足できるクオリティではないが、もしこのサイズでDobbyやBreezeのような映像が撮れ、手頃な価格となれば、1人1台セルフィードローンを持つ時代がくるのかもしれない。
(編集協力:岡徳之)
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