SIXと三越伊勢丹ホールディングスは、歌詞が見えるスピーカ「Lyric speaker(リリックスピーカー) LS1」(税込価格:32万4000円)の完成披露発表会を開催した。開発段階からこのモデルを見てきたというバンドGLAYのTAKUROさんとMistletoe代表取締役社長兼CEOの孫泰蔵氏が登場し、開発者であるSIXの斉藤迅氏とトークセッションを繰り広げた。
Lyric speakerは、ボディに22インチの面発光の透過型液晶を採用し、再生した音楽に合わせて歌詞が表示できるというもの。再生時間と共に歌詞も流れていくほか、曲調によってフォントやモーショングラフィックが異なって表示される。
サイズは高さ35cm×幅52cm×奥行き14cmで、重量約11kg。ACアダプタで駆動する。コアキシャルラウドスピーカ×2、ドローンコーンスピーカ×2を搭載し、最大出力は20W×2。周波数特性は40Hz~40kHzで、ハイレゾ音源の再生にも対応する。
Wi-Fi接続したスマートフォンの対応アプリから楽曲リクエストをすることで、音楽を再生でき、歌詞表示はシンクパワーの「プチリリ歌詞」のデーターベースを使用。同時に産業技術総合研究所のデータベースにアクセスし、楽曲の雰囲気、構成を音楽解析技術で自動解析することで、歌詞表示と曲調に合わせたモーショングラフィックを実現しているという。対応アプリは専用アプリのほか、iOSでは、iOS純正音楽プレーヤー、Apple Music、Google Play Music、AWA、レコチョクベスト、プチリリ、うたパス、dヒッツ、KKBOX。Androidでは端末内に保存された音源のみの再生となり、年内にストリーミングサービスの利用開始を予定している。なお、Bluetooth接続には対応していない。
プチリリ歌詞が提供している歌詞であれば表示ができ、現在対応楽曲は120万曲以上。邦楽のほか、有名曲であれば洋楽もラインアップしており、今後も随時拡充していく。対応言語は日本語と英語。データベースに歌詞が存在していない曲を再生すると、音楽のビートをビジュアライズしたグラフィックを表示する。
歌詞表示は、曲調によって変わるほか、同じ曲でもパターンを変えて出すことが可能。発表会場では、5台のLyric speakerを展示していたが、同じ楽曲を再生し、すべて違うパターンのモーショングラフィックを表示するという演出も見せた。
孫氏は「大げさではなくてiPod以来の大発明だと思った。現代は、音楽における歌詞の力が低くなっていた。歌詞の力を聞きながら体感できる新しいメディア」とLyric speakerを評する。
TAKUROさんも「音楽を聴くメディアがCDからストリーミングや配信になり、歌詞だけは置いてきぼりという印象がミュージシャンにはあった。作詞を手掛ける者としてはよく作ってくれたという思いがある。『あいたい』という言葉一つでもひらがなか漢字か、どの漢字を当てるのかなど、日本にはたくさんの表現方法があるから、そこを見てもらえる味方を得たような気持ちになった」とコメントした。
開発者である斉藤氏は「昔はCDを開けて、歌詞カードと向かい合う時間があったが、今はダウンロードや配信で音楽を聴く時代。歌詞を味わうことがなくなってきた。デジタル時代ならではの歌詞の楽しみ方として、テクノロジの進化で失った豊かさをテクノロジの力で取り戻したいと思った」と開発のきっかけを話す。
斉藤氏は、開発時に価格設定について悩んでいた時、孫氏に「振り切ったほうがいい」とアドバイスを受けたことや、TAKUROさんから「歌詞にこれほどまでに焦点を当ててくれたのは音楽に関わっている者の気持ちがわかる人。自信を持って作ってほしい」と力づけられたエピソードを明かした。
現在、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越の3店舗で、プレオーダーを受け付けており、特設スペースで体験することも可能。800台の限定販売になり、11月14日に出荷を開始する。
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