自動運転車のなかでも、何らかの状況で人間の介在を必要とする半自動運転車の場合、人間が危険回避のために常に状況を注視していなければならない。しかし、完全な自動運転車であればドライバーは不要なので、車内で寝ていても、食事をしていても、映画を見ていても大丈夫だ。
そんな完全タイプの自動運転車が普及する時代を見越して、Ford Motorは傘下企業のFord Global Technologiesを通じ、自動車向け映像エンターテインメント技術に関する特許を取得している。
そのFord Global Technologiesが、今度は自動車の天井に映像スクリーンを取り付ける技術を考案した。同社がこの技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間2016年9月1日に「VEHICLE MIRAGE ROOF」(公開特許番号「US 2016/0250969 A1」)として公開された。出願日は2015年2月26日。
ただしこの技術は、自動運転中に寝転がって映画を楽しむためのものでない。天井の強度を保ちつつ、空模様の確認できるムーンルーフのような開放感を得ることが目的だ。
ムーンルーフとは、自動車の天井に設ける窓のこと。ガラスなどの透明な部材を使って外のようすを見られるようにするのだが、自動車の構造を見直さないと、強度を得るため屋根に配置する部材がムーンルーフと干渉してしまう。そのため、ムーンルーフを取り付けるには、自動車の設計を大幅に変更する必要が生ずる。
Ford Global Technologiesの考案した技術は、天井にディスプレイを取り付け、そこに外部のカメラで撮影した映像をリアルタイムに表示することで、仮想的なムーンルーフを実現する。天井に穴を開けないため、部材の配置などを変える必要がない。自動車メーカーとしては、設計バリエーションを増やさずに済ませられるメリットが大きい。
なお、この技術は外部の映像を投影する仕組みしかカバーしていないが、同じディスプレイに映画などの映像コンテンツを表示する改造は簡単だ。将来の自度運転車は、天井スクリーンが標準装備になるかもしれない。
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