クラウドファンディング発のドイツの「スーパーマーケット」が、欧州で話題となっている。その特徴は「超エコ」であること。買い物する客の環境意識を変えてしまう、環境配慮型の店舗デザインとは――。
ドイツのスーパーマーケット「Original Unverpackt」は、「Waste-free(ゴミを出さない)」ことがコンセプト。普通のスーパーと大きく異なるのは、ほとんどのものがバラ売り、もしくは再利用可能な容器に入って売られているところだ。
買い物の仕方もユニーク。客は買い物袋だけでなく容器も持参し、入店すると空の容器の重さを測り、その重さを表記したシールを容器に張り付ける。そして、欲しいものをその容器に入れて会計をするのだが、金額は中身の重さに応じて決まる。つまり、客が払うのは「純粋な品物」に対してのみだ。
食洗器用の洗剤やシャンプー、パスタまでもがバラ売りで、客は自分の容器に必要な量だけ入れて購入することができる。
ジャムや飲み物など容器に入った食品はどうなるかというと、容器の代金として会計時にデポジットを支払うが、後日リサイクルとして持参すると「返金」されるシステムになっている。
バラ売りにする狙いは、包装代がかからないため安く仕入れ、安く売れること。包装を省くことで時間と手間、輸送にかかる燃料の無駄を省けること。そして何より、使った後にゴミとして捨てられることを防げることだ。
食料品から日用品まで多岐に渡る品揃えだが、1つのアイテムにつき、複数のブランドを取り扱うことはない。それも「1つあれば十分だから」という割り切ったエコな理由で、厳選されたラインアップになっている。他にも布袋、ガラス容器や金属製の箱なども販売しており、消費者がエコ生活を始めるにあたって必要な用具を一通り揃えることができる。
商品はオーガニックと品質面にも配慮されているが、意外にも価格は相場よりも安く抑えられている。これには、「環境に貢献する方法は、誰でも参加でき、かつサステイナブルでなくてはならない」という設立者・Milena Glimbovski氏とSara Wolf氏の思いが込められている。
同店はオンラインショップも開設しており、買い物袋や保存容器からヘアケアグッズ、掃除道具までさまざまな商品を購入することが可能だ。
設立者の2人は、このスーパーマーケットをオープンするにあたってクラウドファンディングサイトの「Startnext」で資金を募った。資金は、当初の目標金額の倍の約11万ドル(約1100万円)が集まり、1号店のオープン時には世界中のメディアで報じられるなど注目度も高かった。
オープンまでには、バラ売りすることに同意してくれる生産者探しなど障壁もあったが、今ではフランチャイズを募集するなど順調だ。夢は、「Original Unverpacktが従来の大型チェーン店のスーパーマーケットに代わる店として店舗を増やすこと」だと、彼女たちはInhabitatに語っている。
エコ意識の高い欧州では、実は似たようなコンセプトの店がいくつかある。
2006年に設立されたCatherine Conway氏の運営するロンドンのスーパーマーケット「Unpackaged」では、小麦粉やナッツ、砂糖、それからワインまで幅広く取り揃えており、いずれもバラ売りされている。
こちらは「地産地消」を推奨しているのも特徴で、できるかぎり地元の生産者と契約をしているほか、フェアトレードにも力を入れている。
今回紹介した2つのスーパーマーケットで買い物をした消費者は、毎日の消費のあり方について見直すきっかけを得られたに違いない。日本でもスーパー”エコ”マーケットの登場に期待したい。
(編集協力:岡徳之)
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