ポケコインが前払式支払手段に認定される場合、供託金の拠出が必要となる。世界展開しているPokemon GOは、さまざまなユーザーが課金していると考えられるが、その場合はどのように供託金額が算出されるのだろうか。また、巨額な供託金が必要となる場合、どのような代替手段があるのか解説する。
自家型前払式支払手段の場合、発行した時点で何かの規制が生じるわけではなく、基準日における未使用残高が1000万円を超える場合に届け出が必要となります(資金決済法5条1項、資金決済法施行令6条)。
日本資金決済業協会が事業者向けに公開しているFAQによると、電子マネーの未使用残高を算定するのは3月末と9月末の年2回となっており(資金決済法3条2項)、この基準日での残高を参考に、供託金の金額が決定されます。
そして、この「基準日未使用残高」が基準額(1000万円)を超えた場合には、その日から2カ月以内に、前払式手段の発行届出書などを、管轄する財務(支)局長等に届け出ることになるわけです(資金決済法14条、資金決済法施行令6条、前払式支払手段内閣府令24条)。
日本で「Pokemon GO」の配信が始まったのは2016年7月22日なので、2016年9月末が基準日となり、届け出の期日は2016年11月末ということになります。したがって、現時点で届け出や供託が行われていないからといって、ナイアンティック社が資金決済法に違反しているわけではありません。
仮に今年の9月末時点で、ポケコインの未使用残高が、1000万円を超えていれば、ナイアンティック社は、自家型発行者としての届け出を行ったうえで、当該未使用残高の2分の1以上の額を発行保証金として供託する必要があります(資金決済法14条1項・資金決済法施行令6条)。
この場合、基準日未使用残高については、ある基準日移転に発行したすべての前払式支払手段の発行金額から、前払式支払手段の使用により代価の弁済に充てられた金額を控除した金額となります。
この場合、海外で発行されたポケコインについては、前述のとおり、日本国内の居住者が購入できない旨を記載したり、購入を防止する措置を講じたりしている場合には、日本の居住者に対して勧誘されていないといえます。したがって、あくまで国内で発行された金額、すなわち国内ユーザーが課金した額に基づいて基準日未使用残高が決定されます。
また、前払式支払手段の発行者は、発行保証金の供託に代えて、以下の方法を取ることもできます。
1.銀行等と発行保証金保全契約を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出た場合には、同契約で保全されている金額の範囲でかかる供託をしないことができる(資金決済法15条)。 2.信託会社等と発行保証金信託契約を締結し、内閣総理大臣の承認を受けた場合にも、信託財産の額の範囲でかかる供託をしないことができる(資金決済法16条)。
したがって、仮にポケコインの残高が非常に大きくても、上記の方法を取ることによって代替的対応を行うことができます。
そして、自家型発行者として登録を行うために、ナイアンティック社は、日本法人なり日本での支店なりを設けて対応するという可能性が高いのではないかと思われます。
現時点で登録、供託がされていなくても、ナイアンティックが資金決済法を違反したことにならないようだ。また、ポケコインの残高が巨額の場合であっても、銀行などと発行保証金保全契約を締結することで代替的に対応可能だ。
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