従来の高級オーディオ路線を維持しつつ、Bluetoothスピーカやヘッドホンなどカジュアルオーディオの拡販に力を入れるハーマンインターナショナル。その変化はコンシューマーオーディオだけではなく、プロオーディオや車載ビジネスにまで及ぶ。2016年の業績報告と合わせ、2017年の戦略などをハーマンインターナショナル代表取締役社長の仲井一雄氏が説明した。
グローバルベースでのハーマンインターナショナルの売上は前年比12%増の約7000億円、営業利益は同20%増の840億円。同社ではカーナビ、テレマティクスなどを受け持つ「コネクテッド・カー」、コンシューマオーディオの「ライフスタイルオーディオ」、コンサートホールなど業務用オーディオを手掛ける「プロフェッショナルソリューション」、車載向けのOTAアップデートなどを持つ「コネクテッドサービス」と4つの部門を持つが、もっとも大きいのがコネクテッド・カー部門で、売上高は3100億円、売上利益率は14%を占める。
日本市場におけるコネクテッド・カービジネスは、スズキの軽自動車にインフォテイメントシステムを導入。「IoTの登場によりクルマがネットワークにつながり、セキュリティの問題などが出てくる。サイバーセキュリティを含め国内自動車メーカーへ積極的なアプローチをしていく」と仲井社長は話す。
ブランドオーディオを投入するカーオーディオでは、JBL(トヨタ自動車)、マーク・レビンソン(レクサス)、ハーマンカードン(スバル)など、ブランドごとに搭載車種を分ける戦略を敷く。2017年度においては、装着率向上のため、各メーカーと協業して流通施策を継続するほか、新車開発、マイナーチェンジ開発ともに、注力していく計画だ。加えて、車内外のノイズコントロールをするシステム「HALOsonic」、選択したシートのみ特定の音が届けられる「ISZ(Individual Sound Zones)」、圧縮音源を元データに近づけて再生する「Clari-Fi 2.0」など、新技術の開発にも積極的だ。
ライフスタイルオーディオ部門では、約3年前からBluetoothスピーカやヘッドホンといったポータブルオーディオに注力。販路は主要家電量販店が中心で、BluetoothスピーカはすでにNo.1ポジションを確立しているという。今後はBluetoothだけでなく、Wi-Fi対応などワイヤレス化を推進し、スピーカをWi-Fiにつなげるだけで音楽が聞けるような商品もそろえていく。
ハーマンインターナショナルの“一丁目一番地”に位置づけるHi-Fiオーディオは、マークレビンソンブランドで、新製品を投入することを明らかにした。70周年を迎えるJBLブランドでは記念モデルの投入とプロモーションを実施する。
また、すでに北米で一定の人気を確立している「REVEL(レベル)」ブランドを日本市場において本格的に投入。REVELは、マークレビンソンのアンプ製品と相性の良いスピーカブランドで、日本のライフスタイルにも合う製品内容になっている。
プロフェッショナルオーディオは、従来実施していた代理店経由でのビジネス展開から、社内にビジネス担当者を配置。10以上のブランドを横につなげてソリューションビジネスを展開する方針を打ち出す。2020年に開催する東京オリンピック、パラリンピック関連のプロジェクトへの参画も視野に入れる。
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