10代の子たちがカップル写真をSNSに掲載している姿をよく見かける。2枚合わせることで1枚のイラストになる「ペア画」などの可愛らしいものだけでなく、堂々とカップル写真や動画を掲載している例も目立つ。
カップル専用アプリ「Couples」調べ(2015年12月)によると、「恋人との写真をSNSに投稿したことがあるか」という質問に対して、19歳以下では53.23%、20~24歳では55.76%が「はい」と回答。「はい」と回答する割合は年齢が上がるに従って減少し、25~29歳で29.34%、30~39歳では19.03%にまで減少する。
つまり、10代から大学生くらいまでの若者たちがカップル写真をSNSに投稿しているのだ。主に旅行やデート時のツーショットやプリクラ写真などを公開しているようだが、中にはキス写真など過激な写真を投稿している例も見られる。
なぜ若者たちは、SNSにカップル写真を掲載することが多いのか。プリクラやスマホの普及という背景以外に、原因はあるのだろうか。彼らの行動に潜む心理、問題点までを見ていきたい。
Instagramで「#カップル」で調べると、30万件以上のカップル画像が見つかる。MixChannelでも、カップル動画などが投稿される「LOVE」カテゴリには多数の動画があがっている。Twitterでは「カップル垢」「共同垢」で調べると、カップルが共同で作ったアカウントが多数見つかるなど、若者たちはカップル写真や動画を投稿することに熱心だ。
Twitterのカップル垢(共同垢)を見ると、カバー写真やプロフィールアイコンにカップル写真を掲載し、プロフィール欄には「A子(ハート)B太 since~」とカップルになった日付を入れていることが多い。2人で運用しているため、どちらがツイートしたのかわかるように「今日はデートだった(ハート) A子」のように、投稿者の名前を入れている。「1年4カ月記念日」など、付き合い始めた日を記念日として、毎月デートやお祝いをしている。カップル垢同士でフォローしあい、応援しあうことが多いようだ。
Twitterの検索窓で「共同垢」と入力すると、「共同垢 別れました」という検索結果も表示される。共同垢を運用していたカップルは別れてもアカウントは削除せず、アカウント名を「別れました」に変えて、アイコンは黒くするのが決まりのようだ。
研究者によると、このようなカップル写真を頻繁にSNSに投稿するような行動は、「交際関係に付随する自尊心(Relationship-Contingent Self Esteen、RCSE)」に関係している。これは、交際関係がうまくいくことで自尊心が向上し、逆にうまくいかなければ下降するという仮説をもとに自尊心を数値で表現したものだ。
リアルでは自分の気持ちを表現することが得意ではなかったり、社会不安の度合いが高いなど、1人でいる時には自尊心が低めである人がRCSEになりやすいという。SNS上でカップル写真を公開することで自分の幸せを再確認するとともに、周囲に知ってもらうことで自尊心を高める効果もあるというわけだ。
つまり、過剰にSNSにカップル写真を公開する若者たちは、1人でいるときの自尊心が低く、公開することによって自尊心を高めている可能性があるのだ。
なお、SNSへの過剰な写真公開は、カップル写真以外にも問題をはらんでいるようだ。精神科医のデヴィッド・ヴィール医師によると、身体醜形恐怖症(BDD)患者の3人に2人は1日に何枚も自撮り写真を撮影し、SNSに頻繁に投稿する傾向にあるという。自撮りを繰り返すことは自信のなさの現れであり、他人に認めてもらうことで自分を受け入れたいという心理が働いているのだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」