いよいよ8月、夏休みも真っ盛りだ。夏休みといえば、中高生たちにとってはスマホやSNSを使う時間も長くなりがち。当然、利用時間が増えればトラブルも増える。
筆者が教員時代、一番大きな乗り越えるべき課題の1つは夏休みだった。素行が悪くなったり、不登校気味になる子どもが出てくるのは、圧倒的に夏休み。夏休み中に万引きなどで児童・生徒が補導されて、担任が呼び出される例も耳にした。
学校から解放されて、子どもだけの自由な時間が増えるにつれて、気が緩んだり、問題を起こすことも増える。親の目が行き届かなくなり、変化に気づかないということも多く、細心の注意が必要だ。
夏休みに起こりがちなスマホやSNSのトラブルと注意点をご紹介する。夏休みを安全に過ごすためのヒントとしてほしい。
学校で会う機会が減ると、LINEやTwitterでのやり取りが増え、利用時間も長くなる。それにつれて、必然的にトラブルに発展する割合も高くなる。中には、いじめや嫌がらせを受ける例も出てくる。
プリキャンティーンズラボの「いじめ・嫌がらせに関する調査」(2016年7月)によると、スマホを所有している10代女子に利用しているSNSを聞いたところ、「LINE(97.5%)」、「Twitter(61.3%)」「Instagram(31.1%)」となった。SNSで嫌な思いをしたことがある人は43.6%と約4割強おり、嫌な思いをしたSNSの内訳は「LINE(33.5%)」「Twitter(33.8%)」が利用率が高い分多くなった。なお、SNSで誰かを傷つけた経験がある人は8.4%と約1割となっている。
LINEを使っていて嫌な思いをしたことは、「既読スルーされた」(44.2%)、「ブロックされた」(39.1%)、「未読スルーされた」(29.2%)、「自分のいないグループLINEが仲の良い子同士で作成された」(27.9%)、「自分への誹謗中傷の書き込みを見つけた」(25.4%)、「LINEグループから強制的に退会させられた」(22.8%)、「既読スルーを責められた」(12.4%)、「未読スルーを責められた」(11.6%)などとなっている。つまり、仲間はずれや無視などのいじめが多いことがわかる。
SNSで嫌なことがあったら大人に相談したいかという質問に対しては、40.8%が「相談をしたこともないし、相談したいと思わない」と回答。「相談をしたことはないが、相談したいと思う」は25.2%、「実際に相談をしたことがあり、また相談したいと思う」は10.0%、「実際に相談をしたことがあるが、また相談したいと思わない」は4.5%となった。
LINEやTwitterなど、文章中心でやりとりすることは大人でも難しい。また、既読スルーなどでトラブルになるのは、信頼関係ができていない場合に起こることが多い。なるべく顔を合わせて自分の状況などを伝えさせること、感情がからむことは、なるべく対面か電話で伝えるようアドバイスすることが有効だ。
また、子どもに「うちは親がうるさいから夜は9時(10時)までしかLINEできない」などと告げさせると、トラブルが起こりづらいだろう。困ったことがあったらいつでも相談に乗ることも子どもに伝えておきたい。
夏休みには、出会い系被害も起こりやすくなる。筆者が聞いた例では、SNSなどで知り合った同士が夏休みなど時間があるときに会う約束をして出会うケースは多い。高校生同士が会うだけなら問題も少ないが、悪意を持った大人が混じっていたら出会い系被害につながってしまう。
ネットでは、性別・年齢・職業・本心を偽ることは簡単だ。悪意を持った大人が潜んでいることも多いことを伝え、ネットで知り合った人とはできれば会うことがないよう注意したい。万が一会う場合も、友だちに一緒に来てもらうなど複数人で会う、人の多い場所で日中に会う、行き先や会う相手を告げてから行くなど、細心の注意を払って会うようアドバイスしたい。
当連載でもご紹介した通り、スマートフォン向けゲーム「Pokemon GO」でのトラブルも多い。道警少年課によると、ゲームが配信された7月22日から31日までの10日間で、少年少女合計122人が補導されている。全体の9割を高校生が占めており、ゲーム内アイテムが入手できる「ポケストップ」周辺での補導が目立つという。
時間帯は午後11時~午前0時が最多で、午後0時から2時も多数いた。深夜のうろつきは犯罪に巻き込まれやすくなり危険だ。ゲームに夢中になるあまり、深夜に子どもが出歩かないよう、保護者は注意する必要があるだろう。
夏休みに高額課金トラブルが起きる例も多い。普段と生活が変わり、新しい人間関係ができて連絡する機会が増え、追加料金が必要となるケースもある。海外旅行に行く場合、パケット定額制サービスの対象外の地域だったり、定額対象外の事業者とつながってしまい、定額サービス適応外となったりすることもあるので注意したい。
また、子どもがスマホゲームなどを利用する機会が増えることで、課金してしまう例も出てくる。子どもの利用状況については必ず確認しておき、トラブルが大きくなる前に未然に防ぎたい。
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