一般社団法人日本音楽制作者連盟(FMPJ)、一般社団法人日本音楽事業者協会(JAME)、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)、コンピュータ・チケッティング協議会の4団体は8月22日、「チケット高額転売取引問題の防止」を求める共同声明を発表した。
この声明には、嵐や安室奈美恵、きゃりーぱみゅぱみゅ、小田和正、吉川晃司、GLAY、郷ひろみ、サザンオールスターズ、DREAMS COME TRUE、中島みゆき、西野カナ、秦基博、B'z、福山雅治、Mr.Childrenなど116組の国内アーティストが賛同。また、FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPAN FESTIVALなど、24の国内音楽イベントが賛同している。
日本でのCDを始めとする音楽ソフトの売上は、1998年をピークに近年まで大幅に減少している一方で、ライブ市場が急成長している。音楽関係13団体が発行する「ライブ・エンタテインメント白書」によると、コンサートの総公演数は、2006年が4万7632本だったのに対し、2015年は5万6042本と約1.2倍に増加。入場者数に関しても、2006年の2454万人から2015年は4486万人へと約1.8倍に増加しているという。
声明では、この10年間でライブや音楽フェスが“音楽をリアルに体験できる場所”として高く支持されている一方で、チケットの転売ビジネスが大規模マーケットとなり、以下のような問題が起きていると指摘する。
すでに一部のアーティストや音楽イベントでは、チケット転売防止対策として、顔認証システムやファンクラブで購入したチケットのみ転売可能な公式トレードサイトなどさまざまな施策を導入している。しかし、いずれもシステムの導入費用や当日のファンへの長時間拘束を要してしまう。
声明では、チケット転売取引に反対している人もいる一方で、賛成し転売取引システムを利用している人がいるのも事実と説明。今後、チケット転売取引システムが売上を伸ばしていく中で、音楽業界としてチケット転売取引問題と向き合い、従来のチケット販売システムや座席価格の一律問題などを見直し、体制を整えていく必要があるとしている。
各代表者のコメントは以下の通り。
「すべてのアーティスト、スタッフは、一人でも多くの音楽ファンに最高のパフォーマンスを届けるために、日々努力を重ね、活動しています。今日のチケット高額転売は、アーティストと音楽ファンとのこれまでの良好な関係を壊してしまう問題なのです」(一般社団法人日本音楽制作者連盟理事長の門池三則氏)。
「本来、定価で手に入るはずのチケットが、一部の悪質な転売業者によって高額なものになり、しかもそれは新しいコンテンツの創作のためには全く活かされないのです。そのような状況を深く憂慮するとともに、根絶に向けての努力を続けたいと思います」(一般社団法人日本音楽事業者協会専務理事の中井秀範氏)。
「コンサート数・動員数共に年々増加の一途であり、それはライブ活動がアーティストとファンにとっての重要度の高まりを示しています。そんな中で、単に金銭利益だけが目的である一部の転売ヤーのために、アーティストとファンがどれだけ多くの犠牲を払っているかを少しでも知っていただきたいです」(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長の中西健夫氏)。
なお、8月23日には関東圏、関西圏、中京圏の朝日新聞(朝刊)、読売新聞(朝刊) に意見広告を出稿している。
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