ミャンマーでこのようなFacebookを利用したボランティアがこの1年で大きく発展したのには、スマートフォンの普及タイミングが大きく影響している。
ミャンマーでは軍政下での鎖国的な政策もあって、固定電話さえ一般家庭にはほとんどない状態が長く続いた。それが民主化が進んだ2014年、政府は携帯電話市場を外資系企業へ開放。SIMカードは劇的に安くなり、スマートフォンが一気に普及した。そして2015年、ミャンマー北西部を襲ったのが大規模な洪水だ。
スマホが普及して初めての大災害。政府に対し強い不信感をもつミャンマー国民が、被害状況を知るための情報収集に威力を発揮したのが、Facebookだった。たくさんの人びとが、近隣の被害を写真に撮ってアップロード。どこで救援物資が不足しているか、どこまでは陸路で運べるか、ここの僧院ならボランティアの宿泊が可能、といったきめ細やかな、それでいて本当に必要な情報をFacebookは発信し続けたのだ。
先ほど紹介したレッタパッカーンジャメーも、2015年の洪水でホテル旅行業組合の有志たちが、被災地へ水や食料を届けたのが始まり。その後、流された学校を再建するプロジェクトを立ち上げ、Facebook上で経過報告などをしていたのが発展して、今のようなページになったそうだ。
こうしたグループに共通しているのは、アカウントを共有する何人かが、Facebookへのアップロードを担当し、実際の支援活動には参加表明した人たちであたるという、緩やかなつながりで活動を続けるスタイルだ。これで活動に支障が出ない人員とお金を集められるのは、国民総ボランティアともいえる、ミャンマーのお国柄によるものであることは間違いないだろう。
(編集協力:岡徳之)
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