未来へのヒントがみつかる次世代デジタル戦略

400m画面スクロールの“苦行”が生む体験--「くばら あごだしチャレンジ」誕生秘話 - (page 3)

直接的な商品売上の前にある、ブランド認知度の重要性

齊藤氏:今回の施策では、最後までスクロールいただいた方の中から、1日1名に賞金5万円をプレゼントするというキャンペーンを展開したのですが、実施した10日間のアクセス数が92万8132PV、キャンペーンへの応募数が5万3519通、Facebookの「いいね!」が8000以上、ツイッターでのリツイート数が1万以上でした。KPIという点では、似たような10日間の施策から3万PVほどを予測していたので、驚くべき結果です。

 さらに、ウェブニュースでは100件以上、首都圏を含むテレビ4番組に取り上げていただき、新聞や雑誌でも話題にしていただきました。とりわけテレビでは、フジテレビの「みんなのニュース」に取り上げていただいた直後に、大きくアクセス数が伸びましたね。

――それほどメディアで話題となり、テレビにも取り上げられたとなれば、公開前には不安を見せていた上層部や営業部の方々も、大喜びしたのではないでしょうか。

D2Cソリューションズ プランナー日山雄貴氏
D2Cソリューションズ プランナー日山雄貴氏

齊藤氏:そう思いますよね?それが違うんですよ(笑)。皆さん「よかったね」と、本当にあっさりした反応だったんです。もっとリアクションがあるかと思っていた私も拍子抜けしてしまいました。

 アイデアはすごくバズり、評価されましたが、商品そのものが話題になったり、売上が信じられないほど急増したではありません。世間で「くばらの何か」が大きな話題になっていることに対して、喜び半分、不思議がる気持ち半分を表現する言葉に、「よかったね」がベストワードだったのかもしれません(笑)。

毛利氏:久原さんは、どうすれば社の「商品」が大きくPRできるのか、常に真摯に考えられてきた企業だと思います。しかし、商品の売上げに直結しなくとも、結果的に会社やブランド全体の価値観を伝えるような施策も時には必要です。

 商品の売上や営業活動にとっては間接的な、こういった施策の価値や重要性に対し、齊藤さんを始め、プロモーション部門の方たちが一生懸命、布教してくださっているのを痛感します。これは企画を実現する上で、非常に重要なファクターだと再確認させていただきました。

どんな突き抜けたアイデアでも、ブレない到達点の共有が成功を導く

――そこで気になるのが、今回の結果を受けたあとに待ち受ける、次なる施策です。苦行とともに、それ以上のワクワク感を感じさせていただいたプランナーの立場からすると、さらにとがった企画を期待してしまいますが……(笑)。

毛利氏:今回の成功を受け、それなら次回はと、商品にフォーカスした企画を提案させていただいたんです。けれど「そんなお上品な企画を出されるんですか?」と、むしろ久原さんのほうから言われてしまって(笑)。

齊藤氏:今回の施策から生まれた話題性を商品の売上につなげていくことは欠かせません。しかし90万PVという数値だけでなく、Twitterでの反応やキャンペーンの応募時にいただいたコメントから「すごく面白い」「この企画はすばらしい」と、予想以上に好意的なご意見をいただきました。となれば、この施策を面白いと思ってくださったユーザーの期待に応えていく形で、さらにブランドの認知度を上げていくことが先決だと思ったんです。

――では、最後に僕が最も気になっていること。ともするとクレームにもなりかねない、とがった企画にゴーを出すのは、クライアントとしても賭けだと思います。その賭けを成功させる秘訣を聞かせてください。

齊藤氏:どんなに面白くとがって、突き抜けているようなアイデアであっても、たとえば今回の施策がそうであったように、当初の目的を明確に、決してブラさらないことではないでしょうか。

 とがった企画の先に、何を実現したいのか。その到達点がしっかりと定められれば、プランナーさんや制作チームの方もアイデアが出しやすいと思うんです。事実、今回の施策もそうした明確な到達点が皆さんと共有できたからこその成功だと思っています。

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