8月9日~8月15日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
Appleは、iPhone、iPadに関して、年次アップデートのサイクルを固定化してきた。
iPadについては、「iPad Pro」の投入でそのサイクルは崩れつつあるが、iPhoneはきちんと毎年9月に新機種が登場している。iPhone SEは3月にリリースされたが、2017年も刷新されたiPhone SEが出るのかどうかで、9月と3月の2回更新にするのかどうかを見極められるだろう。
iPhoneにしても、iPadにしても、搭載されるテクノロジを決めるのは、毎年9月に発売されるiPhoneが起点となる。9月は、新しいiOSがリリースされ、新しいプロセッをが搭載し、なんらかの新インターフェースが採用されるからだ。
iPadは、プロセッサこそA9Xのような性能強化版を搭載しながら、Siri、Touch ID、高性能カメラなどはiPhoneから譲り受ける形で進化を続けている。iPhone SEも、サイズやディスプレイを前機種であるiPhone 5sから、プロセッサやカメラなどをiPhone 6sから採用し、非常に効率的な構成になっている。
いまいちサイクルが見極められないのがMacだ。
Macのコアファクターは、Appleが独自に進化を主導しているAシリーズのプロセッサではなく、Intelのチップセットであることも、その原因の1つといえよう。モバイル向けのフラッグシップモデルであるMacBook Pro 15インチモデルは、2015年の刷新で、感圧トラックパッドになったものの、チップセットはBroadwellに据え置かれ、当時最新だったSkylakeの搭載は見送られている。
デザインは2012年から変わっておらず、チップセットは2014年の最新PCと同等、という、「古くさい」コンピュータを最新モデルとしてきたのだ。ただし、ここには合理的な理由がいくつもある。
まず、これは筆者が経験したことだが、たとえば2012年に発売したMacBook Proに2015年当時最新だったOS X El Capitanを導入すると、2014年の同じマシンよりも高速に動作したのだ。ソフトウェアエンジニアリングの追究によるパフォーマンス改善の余地があることを示してくれた。
加えて、Intelのプロセッサは、高速化もさることながら、電源効率の向上が著しい。デザインやバッテリの容量を変えなくても、倍近くのバッテリ駆動時間を確保できている。
ポケットに入るiPhoneですら2年に1度のサイクルでしかデザイン刷新をしないのに、カバンの中、あるいは据え置いて使うコンピュータを、そんなに頻繁にデザイン変更することもない。Appleにもデザイン変更にかかるさまざまなコストがかかるし、ユーザーにとっても、周辺機器の変更などが伴えば、コストになる。
別の視点から考えると、「スーパーコンピュータ」と銘打つiPad Proシリーズの導入を促す狙いもあったように感じている。
4K動画を楽々と編集でき、Apple Pencilという新しいインターフェースが利用できるiPad Proは、部分的にはMacBook Proの役割を巻き取ることもできるし、新たな創造性をもたらすこともできる。
少なくとも、2015年末から2016年夏までの段階で、MacBook Proよりも、9.7インチモデルですらiPad Proの方が魅力的だからだ。Appleが言うように、主たるコンピューティングはiPadが担うという方針転換もあるだろう。
プログラミングをはじめとするエンジニアリングや、クリエイティブなどに携わるほんのひと握りのユーザーと、ファッショナブルにコンピュータを使いたい人(MacBookがおすすめ)のために、Macを提供する考えには、確かに筆者も共感できる。
Macの将来の収益構造を先に体現したのはiPadだ。2016年第3四半期決算に置いて、iPadの販売台数は9%減少したが、売上は7%向上している。単価の高いiPad Proへの販売比率の転換によって、少ない台数で多くの利益を得られるようになってきたのだ。
前述のように、エンジニアリングとクリエイティブといったプロユース、そしておしゃれさに付加価値を払う人たちのためのMacへと移行することは、iPadで実現しつつある営業効率性を手に入れることに他ならない。
ただし、それでも、そろそろタイムリミットではないだろうか。
MacかiPadか、という論争は、まだ過渡期にある。つまり、新しいMacを出しておいて、Appleプラットホームにユーザーをつなぎ止める努力をしておいた方が良いというのが現時点でのアイデアだ。
この状態が長く続くことは、MacかiPadかではなく、Windowsプラットホームに大きな利益をもたらすことになる。Adobeなどのソフトウェアのサブスプリプション化は、プラットホームの移動を容易にしている。Macをひいきにしてきたデザイナーですら、そのとき最も高速なマシンを手に入れることができるWindowsに魅力を感じているからだ。
新「MacBook Pro」、「Touch ID」など搭載か--4年ぶりの刷新(8/12)iPhone登場までおよそ1カ月というタイミングで、さまざまな追加情報が出てくるようになった。新たなスペースブラックというカラーは、Apple Watchや登場が噂されるMacBook Proとともに「ブラック」というカラーコーディネートを可能にしてくれるかもしれない。
それ以上に、毎日のiPhone操作に影響するであろう新しい機能は「感圧式ホームボタン」だ。ホームボタンの感圧化という話に納得がいく。
Appleがこれまで、Apple Watch、iPhone 6sのディスプレイ、Magic Trackpad 2、MacBookシリーズのトラックパッドと、感圧タッチパネル+TapTic Engineによるフィードバックを次々に実装し、可動部分をなくしてきたこと。そして、ホームボタンは、画面の点灯やアプリの中断、アプリ切り替えと非常に多用し、比較的故障しやすいパーツであったことだ。
おそらく、Magic Trackpadのように、ボタン面は動かないのに振動でだまされて押しているような感覚を覚えるはずだし、ダブルタップをしなくても、強めに押し込んでアプリ切り替え、といった機能の割り当ても実現できるようになるだろう。
次期「iPhone」、感圧式ホームボタン搭載か--新色「スペースブラック」も(8/9)9月と言われているiPhone発表会で、前述の期待されているMacBook Proの登場はないようだが、それ以外の製品の刷新が多く、忙しい秋を迎えることになるかもしれない。
2015年9月の発表会では、iPhoneシリーズの刷新に加えて、Apple TV、Apple Watch Sportの新色、iPad Pro 12.9インチが登場した。これらの製品も、刷新される余地はある。
たとえば、Apple TVはフルHD止まりのサポートであり、4K解像度のサポート、という余地が残されている。またiPad Pro 12.9インチについては、同9.7インチモデルが搭載したTure Toneディスプレイや、アンテナ部の新デザインの採用、そしておそらく次のiPhoneに搭載されるであろうA10世代の新プロセッサ採用が考えられる。
そして、Apple Watchだ。これについては2機種の登場が予測されている。1つは防水機能、プロセッサ機能を向上させたモデル。そしてもう1つはGPSや気圧計、大容量バッテリ搭載モデルだ。
Apple Watch Sportに機能刷新版を用意し、Apple Watchに機能追加版を登場させ、スマートウォッチの製品ラインアップにヒエラルキーを登場させることも考えられる。
GPS搭載の「Apple Watch 2」など2機種、2016年中にリリースか(8/9)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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