仮想現実(VR)デバイスを使用中のユーザー同士のマナーを向上させる取り組みについて、GoogleのVRチームが詳細を説明した。
同社のDaydream Labsの開発チームは、VRゴーグルを着用したユーザーたちに「前向きなソーシャル体験」を実現してもらう手法の構築に取り組んでいる。
人間は好奇心が強く、VR体験の限界をテストしようとするものだと開発チームは述べている。例えば、自分の手をほかのプレーヤーの頭に貫通させる、あるいは、ほかのアバターの身体の内側に立つとどうなるのか、といったことを試したがるという。
しかし、意図的な悪意がなくても、そのような行動は「ほかのプレーヤーに危険や不安を感じさせる場合がある」と警告。「開発者、設計者として、われわれは楽しくて使いやすい社会的体験を構築することに興奮を覚えるが、それをすべての関係者にとって安全で安心なものにすることも同様に重要だ」とした。
Daydream Labsの開発チームは、「HTC Vive」向けに構築したショッピング実験を例に挙げた。この実験では、2人のアバターがさまざまな帽子やサングラス、アクセサリを着用することが可能だった。一部のユーザーは友達の身体のあらゆる部分、例えば、目の前などに帽子をかぶせた。
「残念なことに、帽子をかぶせられたユーザーは、視界が遮られてしまった。コントローラで目の前の帽子を取り除くことができなければ、ヘッドセットを取り外して、VR体験を終了するしかなかった」という。
「VRは、誰もが安全と安心を感じられる場所であるべきだ。他者の行動を予測できれば、われわれは敵対的な社会的行動を根本的に止めさせることができるかもしれない」(開発チーム)
犬の姿でポーカーを楽しむ別の実験で、開発チームは荒らし行為を止めさせる新しい方法をテストした。ポーカーテーブルで誰かが席を外したら、そのユーザーに表示されるゲーム画面が白黒になり、そのユーザーのアバターがほかのプレーヤーの画面から消える。
「それだけで、プレーヤーが相手に近づいて、チップを盗んだりパーソナルスペースを侵したりするのを防げることに気づいた」という。
褒美があれば、プレーヤーは前向きな態度で他者と交流しようという気持ちになる。アバター同士の手が触れると、はじけるような音が鳴ったり、花火が上がったりするが、プレーヤーがそれ以外のこと(例えば、アバターの身体を殴る)をしても何も起こらない、という実験も行われた。「プレーヤーがどちらの行動を好むようになったのかは、言うまでもないだろう」(開発チーム)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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