1995年以降、約1億台のVolkswagen車の安全が脅かされていたことが、研究者による新たな調査で明らかになった。
Wiredによると、調査結果を公表したのは英バーミンガム大学と独エンジニアリング企業の研究チーム。その方法は、無線装置を利用してリモコンキーの信号を傍受するというものだ。これらの信号を利用すれば、リモコンキーを複製して、車を解錠することができる。無線受信機を備えた「Arduino」基板を使えば実行可能で、基板にかかる費用は約40ドルだ。
研究者は、Volkswagenのある部品をリバースエンジニアリングした後にこの方法を発見した。さらに、「多くのVolkswagen車で共通に利用されている1つの暗号化キー値」を手に入れることに成功した、とWiredは報じている。キーが1回押されるのを傍受するだけで、研究者は、キーを複製するのに必要なものを手に入れられる。窃盗犯は、車両から約300フィート(約91メートル)の範囲内にいる必要がある。この暗号化キーがすべてのVolkswagen車で共通というわけではないが、対象となるのは相当な台数だ。
Volkswagenは電子メールで次のようにコメントした。「当社は、顧客とその車両のセキュリティについて非常に真剣に考えている。報道で名前の挙がった学者たちと連絡を取り、建設的なやりとりしているところだ。執筆者が数学的および科学的発見について公表することには賛同するが、それは、熟練した犯罪者が車両に侵入するのに悪用できる機密事項が含まれていなければ、の話だ。今回の発見は、セキュリティ技術のさらなる向上に役立つだろう」
研究者らは別の方法についても発表する予定で、こちらのやり方も多くの車両に影響が及ぶ。その方法は、Alfa Romeo、Fiat、Ford、三菱自動車、日産自動車など、複数の自動車メーカーが対象となる。こちらのほうがいささか複雑で、リモートボタンが複数回押されるのを傍受する必要があるものの、多くの車両を解錠するのに利用できる。
公表された方法は、車内への侵入が可能になるだけで、車を盗むのには利用できない。だが、車内に入ってしまえば、ギアをニュートラルにして車を動かし、トラックやトレーラーに載せて素早く逃走することが可能だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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