Emmett Brewer君は壇上の講演台に隠れてしまうほどの背丈しかないので、その横に立ってプレゼンテーションした。Emmett君は、米国のコメディ漫画「わんぱくデニス」のデニスのような髪型をした、まだ10歳の子供だが、彼の話には真剣に耳を傾けた方がいい。
Emmett君の今回の話題は、ハッキングコンテストだ。Emmett君は会場にいるほかの子供たちに、ハッキングコンテストである「Capture the Flag(CTF)」を運営する方法を教えている。彼らの友達が新しいスキルを身につけたり、小さくもたくましい彼らの意思どおりにソフトウェアを動かす秘訣を教え合ったりできるようにするためだ。
そう、筆者は今、子供のハッカーが大勢集まった部屋にいる。とても小さな子供から高校生までいろいろなハッカーがいるが、皆あらゆるものを突破する方法を知りたがっている。
Emmett君は、「僕はハッキングやスニッフィング、ジェイルブレイク、ファジングといった類のことが大好きだ」と聴衆に話す。
この会合は「r00tz Asylum」だ。ラスベガスで開催される年次ハッキングイベント「DEFCON」の一環で、子供が主役のイベントである。子供が会場のほかの場所で行われている大人向けの講演に参加する代わりに、保護者と一緒に過ごせる場所として始まった。それからの6年間で、r00tz Asylumは本格的な子供向けハッキングコンベンションに発展した。
パリス・ラスベガスホテルの大広間で、子供たちが部屋の両側に設置されたテーブルに座り、錠をこじ開ける方法や回路基板をはんだ付けする方法を学んでいる。別の一角では、Emmett君が講演で説明したようなハッキングコンテストが開かれている。壇上では、さまざまな話者がハッキングの面白さとリスクについて率直に話す。
疲れた顔をした幼稚園生くらいの子供を指導している女性が、「もっと錠をこじ開けたい?」と尋ねた。
その男の子は「もういい」とぼんやりと答え、はんだ付けが行われている場所に歩いて行った。
2016年のカンファレンスでは、Emmett君を含め、これまでで最も多くの子供によるプレゼンテーションが行われた。Emmett君がCTFと呼ばれるハッキングコンテストを作り上げる方法を学びたいと思うに至るきっかけを作ったのは、父親のJoel Brewerさんだ。Emmett君のCTFは、Facebookによって設計された、すぐに使えるプラットフォームを利用する。
テキサス州オースティンでこの秋に4年生になるEmmett君は、プレゼンを終えて、「わくわくしていたけど、少し緊張した」と語った。コンピュータラボ以外で好きな教科はあるかと聞かれ、「コンピュータラボと休み時間のほかに好きなものはないよ」と答えた。Emmett君は今、回路基板をはんだ付けしている。この基板は最終的に電子版「Simon Says」(指示を出す人が「Simon says」と言った場合だけ、他の人が命令に従うという遊び)になる予定だ。
Facebookは5月、独自のCTFプラットフォームを一般に公開した。Facebookのサイバーセキュリティ専門家としてCTFプラットフォームの開発に貢献したJavier Marcos氏は、学校など子供に関わる機関からの需要があまりにも大きく、同社のエンジニアではそうした需要に対応しきれなかったと言う。同氏は現在、Uberで働いている。
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