グリーは8月4日、2016年6月期通期(2015年7月~2016年6月)の連結決算を発表。売上高は698億7800万円(前年同期比で24.4%減)、営業利益は142億3900万円(同29.6%減)、経常利益は105億3400万円(同57.9%減)、純利益は84億200万円(同103億2200万円の赤字)となった。
4月21日付けで発表した業績予想から経常利益ならびに当期純利益が大きく下回ったことについては、円高が想定以上に進行したことによる為替差損の計上や投資有価証券評価損等の計上、また関係会社株式評価損として総額38億3500万円を特別損失として計上したことによるものという。
四半期ベースでは、第4四半期において売上高は156億3000万円(前四半期比で11億8000万円減)、営業利益は22億2000万円(同14億2000万円減)、経常損益は5億5000万円の赤字(同31億3000万円減)、純利益は20億3000万円(同6億円増)となった。
主力としているゲーム事業において、第4四半期における全体でのコイン消費は、前四半期から比較して21億コイン減の201億コインとなっており、いまだ減少傾向が続いている。決算説明会においては、ゲーム運営事業における受託数増加や一部タイトルのコイン消費貢献、また住まいPF(プラットフォーム)事業やヘルスケアPF事業、広告メディア事業の堅調な立ち上がりや事業の伸長、VR事業の積極的な取り組みも明るい材料として説明はあったものの、売上の反転までには至っていない。
2017年6月期の事業方針としては「ゲーム事業の反転」と「中長期成長に向けた新領域への投資の継続」を掲げた。特に注力している国内向けのネイティブゲームとしては、開発スタジオのWright Flyer Studiosから5本、子会社のポケラボから3本の計8タイトルが開発中で、グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏は「リリースラッシュをかける」と表現するように、年間を通し断続的に新タイトルをリリースしていくという。
田中氏は「まず、どういったネイティブゲームを作ったらいいのかを模索する時期があり、この1、2年はグリーとしてどのようなゲームを作るべきなのかを考えて開発にあたってきた。それらが完成してリリースするのが今期。2年間頑張って取り組んできたひとつの集大成であり、期待をしている」と意気込みをみせた。
第1四半期の業績予想として、売上高は135億円(第4四半期から21億円減)、営業利益は10億円(同12億円減)、経常利益は10億円(同16億円増)、純利益は0円(同20億円減)を見込む。なおこの予想には新規タイトルの貢献を織り込んでいない保守的な数字であることを説明。一部有力タイトルのクローズや譲渡を含む既存タイトルの減衰、ゲーム運営事業における規模拡大に向けた先行投資を見込んでいるためという。
決算説明会では、話題となっている位置情報ゲーム「Pokemon GO」に関する質問も想定してか、田中氏自ら切り出す形で、「全世界でこれだけ一度に多くの人が何かをはじめたことは、世の中の歴史でも存在しないのではないか」と注目したポイントを説明。そしてインターネット社会かつソーシャルメディア社会になり、情報の波及速度が劇的に変化したことを感じたという。こうした急激な広がり方は、マーケティングの観点から分析したいとの考えを示した。また、数年後にもこれだけ一気に広がるサービスに出会う可能性があるとの見解を示し「こうした未来に向けて、どのようなサービスを作っていくべきかを考えさせられる出来事だった」とコメントした。
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