Facebookの巨大なハードウェア研究施設「Area 404」に潜入--VRやドローンを開発 - (page 2)

Richard Nieva (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2016年08月08日 07時00分

 しかし、この研究所はFacebookにとって極めて重要である。なぜなら、同社は赤ん坊の写真や政治に対する文句を共有するハブ以上の存在になりたいと考えているからだ(ただし今もなお、その中心的存在になることも望んでいる)。Zuckerberg氏はFacebookの包括的な10カ年計画を示した。その計画には、人工知能と仮想現実、インターネットアクセスへの大規模な投資が含まれる。それは、Zuckerberg氏が繰り返し述べてきた「世界をよりオープンに、そして、よりつながったものにする」というスローガンの一環だ。Facebookにとって、それは、スマートフォンがFAX機と同じ運命をたどったときに、コンピューティングの次の波がどのような形態を取ろうと、その一歩先を歩き続けられるように努めるということでもある。

 そこで、ハードウェアの出番であり、Area 404も必要になるというわけだ。


 この施設で、Facebookは上空から僻地にWi-Fiアクセスを提供するドローン技術の開発用ツールを作る予定だ。同社は6月、「Aquila」の初のテスト飛行を実施した。Aquilaは太陽光で動くドローンで、翼幅は「Boeing 737」より大きい(Burns氏が持っていたのはAquilaのプロペラ)。Facebookはこれらのドローンを使って、いわば空飛ぶ通信基地局から、世界の最貧困層の人々にインターネットアクセスを提供したいと考えている。

 この研究所で、Facebookは「Oculus Rift」のプロトタイプも作っている。Oculus Riftは、Facebookが2014年に20億ドルで買収したOculus VR製のフラッグシップヘッドセットだ。Oculus Riftは、米国では2016年3月、600ドルで発売された。

 Facebookはこの研究所で、「Surround 360」の筐体も作っている。Surround 360は同社が設計した装置だが、自社販売は行っていない(この装置の製作に必要な材料を購入するには、3万ドルかかる)。この装置は17台のカメラで構成されており、高品質な360度動画の撮影を可能にする。

 さらに、この研究所はFacebookの「Building 8」の拠点でもある。Building 8は実験的なハードウェアの開発を目的とする新しい取り組みだ。Facebookは5月、Googleで「Advanced Technology and Projects」(ATAP)と呼ばれる同様の取り組みの責任者を務めていたRegina Dugan氏を引き抜いた。Dugan氏は米国防高等研究計画局(DARPA)の元長官でもある。DARPAは、奇抜なアイデアを取り入れることで知られる米政府機関だ。GoogleのATAPは、「Ara」(ユーザーがレゴブロック風の交換可能なパーツでスマートフォンを作れるようにすることを目指すプロジェクト)や「Tango」(3Dマッピング技術)など、Googleの最も興味深いコンシューマー向け技術の一部を開発した実績を持つ。

 FacebookはDugan氏やBuilding 8が何をしているのかを明かさなかったが、同部門は現在、人材を募集している。

 ハードウェアの実験をする場合、さまざまな故障が発生することをFacebookは理解している。そのため、この研究所には「故障解析」用の巨大なX線機器も設置されている。同社はそのX線機器でハードウェアを徹底的に検査し、故障箇所の解明を試みる。X線機器の横には、「Alien life form autopsy room. DANGER」(地球外生命体の死体解剖室。危険)と書かれた標識がある。かつて「move fast and break things」(素早く行動し破壊せよ)をスローガンとしていた企業にはふさわしいものと思われる。

 Facebookは研究所の建設コストを明かさなかったが、同社のエンジニアリングとインフラストラクチャを統括するJay Parikh氏によると、この研究所は「最先端」の施設だという。「ここには多種多様な機会が集まる」(Parikh氏)

 さまざまなフライス盤を揃えることが重要なのは、Facebookが小さなものも大きなものも作れるようでなければならないからだ、とBurns氏は説明する。それには、インフラの設備もOculusの部品も含まれるが、同氏はFacebookのそのほかの計画については、多くを語らなかった。

 「われわれはこの研究所で将来の計画を立てようと懸命に努力している」(Burns氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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